Tea moon, vacation rental ~2023年7月~

福本晴華

2023年5月17日から工事が完成し、今まで6組のお客様を迎えいれることができたtea moon。2017年頃から湯船で茶畑をやるようになってから、管理する茶園の隣で、立地は最高なのに放棄され続けている家の存在がずっと気になっていました。いつか、改修したいなと思っていましたが、いよいよ工事が完成し、宿として活動が始められお客様に喜んで頂いたことが何よりも嬉しいです。

公共交通機関も無い場所にわざわざ足を運んで頂くので所謂ホテル、ということでなく滞在時間全てが、湯船でしかできない「体験」にしたいと試行錯誤をしてだいぶカタチができあがりました。

まずは、食事。京都市内であれば建物だけを貸す、ということが想定できますが、湯船では周囲の飲食店、コンビニすらないので食事は必須です。とにかく地元の食材に拘りました。たんぱく源は、近江牛の個体識別番号付きのカイノミ。直接、近江牛の牧場をお持ちの会社の社長と交渉し、仕入れました。さらに、山城産の鹿のステーキ。隣の笠置で起業した若手起業家達が丁寧に処理した肉は臭みも硬さも無く美味。米はcafeの目の前のd:matcha水田から。野菜は、近所の農家さんの畑やd:matcha畑産。鮮度と品質にこだわり、ソースや味付けの部分で、自社栽培のお茶を活用したり、茶園横にある山椒の実を使ったり、しています。2泊される場合は、近所の調理師免許を持つベテラン主婦の方に地元ならではの家庭料理を作って頂き、それをベースにサーブしました。宿の掃除も湯船に住む70歳以上のベテランにして頂いてます。

宿が楽しいのは、滞在時間が長い分、湯船の良さを存分に味わって頂けること。朝起きると鳥の声と川の音が聞こえ、窓を開けると涼しい風が入り、茶園と水田の景色が楽しめます。あるお客様は、風呂から満月を楽しんだと仰っていました。地元のリソース、歴史、文化、食材、人、自然とそうした環境全体でお客様をお迎えできる、まさに地域の力を合わせることができる事業で大変やりがいがあります。

滞在のお客様に見て頂けるということも、茶園の管理や、草刈りなどの景観の維持にも例年以上に気合が入っており、ほぼ毎日私も畑にでています。

代表取締役
田中大貴