有機栽培や農薬不使用栽培について 〜2021年10月〜

田中美里

D-matcha では、2017 年よりお茶栽培については年々農薬不使用栽培での面積を拡大させています。当初、こうした栽培方法に着目したのは海外含めそこにニーズがあるからと判断したからですが、農業に携わるようになり、自然に近い方法で自然のサイクルを中心に作物を育てることの面白さ、自然の偉大さ、そこから齎される味わいに感動し、また勉強をさせていただいています。

「有機栽培」と日本でいう場合、認証機関に有機 JAS の基準を満たしているか否かがポイントになります。ですので、有機 JAS は、農薬も自然由来のものであれば使用 OK ですし、肥料などの資材は有機 JAS の認証がないと使用できません。

例えば、家の食物残渣を発酵させて肥料として使用したり、近くの小豆会社から粕をわけてもらって使用するようないわゆる自然の循環に即した肥料でも「認証がとれていない」と有機と はいえません。また、法人の場合、有機 JAS の認証を獲得維持するのに大きな費用(特 に茶は、栽培と加工の 2 分野で取得する必要)を要します。したがって、D-matcha では 2018 年に有機 JAS 認証を取得しましたが、更新しませんでした。

↑2018年に取得したJAS(未更新)

D-matcha が現在行っているのは、茶については、農薬不使用栽培、そこに菜種油粕や魚かす、魚かすなどを発酵させた肥料を畑の性質や作りたい茶のイメージに併せて設計し、お茶を収穫させていただいた分、窒素やリン、ミネラルなどをお返しする、といったイメージで施肥を行っています。こうした自然由来の有機肥料で栽培すると、優しくて色んな味 わいを醸成でき、特に煎茶は香りや品種の差が出やすくなると実感しています。

やはり、化成肥料や過度な有機肥料の施肥、それによる妨害中を防ぐ農薬の散布は、自然の原理原則に反して収量や味わいを求めた結果必要になるものであり、そうして作られた茶はある種、地の利いわゆるテロワールの差が出づら い、同じような茶になりがちと感じています。

↑地元の農家さんにコンバインを教えてもらう

今年は、茶に加え、お米も農薬不使用栽培で収穫しましたが、初年度はヒエなどの雑草に大いに悩まされました。書物をあさって仮説を構築しながら、今年は田んぼを平らにする、蓮華やフェアリーベッチなどの緑肥の活用、そして耕しすぎないで好気性細菌の豊かな土壌をつくることを目指して、チャレンジしていきたいと思います。自然をリスペクトした農業はフィードバックが壮大なので、新しいことに挑戦しがいのあるとても知的好奇心をそそる素敵な仕事であると改めてその喜びを感じるとともにそうした仕事をさせていただけるお客様に感謝しております。

代表取締役 田中大貴