tea history -13- 世界のお茶産地

日和子 矢野

--お茶はコーヒーよりも多く飲まれている!? --

 

皆さんはコーヒーと紅茶、どちらがお好みですか?

総生産量で見ると、茶の総生産量は5,812千トン、コーヒーの生産量は9,212千トンでコーヒーの方が多く栽培されています。

 

ところが、コーヒー豆と茶葉の使用量はそれぞれ異なります。

飲料として、どちらの消費量が多いか比較してみましょう。

淹れ方にもよりますが、コーヒーは一杯当たり約10gの豆を使用します。

一方の、紅茶や緑茶などは5~6g程度。

使用量から推計する限り、実はお茶はコーヒーよりも消費量が多いのです。

さらに、緑茶は2煎目、3煎目と何度も楽しめるます。

お茶の消費量がコーヒーを上回るとは、意外に思われる方もいるかもしれません。

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〜世界のお茶産地〜

 

茶の生産が盛んな国と聞いて、どの国を思い浮かべますか?

中国原産の茶は、照葉亜熱帯樹に分類され、比較的温暖な地域で育ちます。

 

茶の生産は世界各地で行われていますが、

アジアが世界全体の85%を占めます。

お茶の発祥の地・中国を中心に長い歴史を持ち、産業・そして文化として発展してきたためです。

生産量で見ると、中国とインドがアジア全体の7割以上を生産しています。

これら2国に続いて、 スリランカ、トルコ、 ベトナム、インドネシア、日本の順で生産量が多くなっています。

日本は11位で、約8万トンを生産しています。

これは、世界全体の生産量の1%ほどに相当します。

(FAOSTAT 2017)

 

アジア以外でも、茶の栽培は行われています。

大陸別に見てアジアの次に多いのがアフリカです。

ケニアを中心に世界全体の生産量の約13%をまかなっています。

その他、南アメリカ大陸では、アルゼンチンやブラジルで茶が生産されています。

(InternationalTea Committee 2015)

 

ここまで、茶の生産量について見てきましたが、

同じ茶の木から緑茶に限らず紅茶や烏龍茶も作られます。

茶の種類ごとに主な生産地を見ていきましょう。

 

 

〜紅茶〜

 

紅茶は、茶全体の生産量の6割近くを占めます。

主な生産国はインド、スリランカ、中国、インドネシアです。

これらの国々の共通点として、茶の栽培に適した気候があります。

熱帯または亜熱帯地域であることに加え、高地で霧が発生しやすい地帯に属しているのです。

このうちインドが世界全体で見て紅茶の約4割を生産しており、

その規模は生産量2位のスリランカの3倍以上に当たります。

 

インドでの紅茶の栽培は、歴史と深く関わっています。

イギリスの植民地時代、中国原産の茶の木が植民地のインドに持ち込まれ、栽培が始まりました。

セイロン島を含むインド南部では、中国から持ち込んだ中国種が主に栽培されています。

北部で主流なのは、アッサム地方に自生していたアッサム種です。

この中国種とアッサム種の2つが紅茶の2大品種として知られています。

 

ちなみに、インドのダージリンティー、スリランカのウバ、中国の祁門紅茶(キーマン)の3つの紅茶は、世界三大銘茶と呼ばれています。

 

緑茶に比べると量は少ないですが、日本でも紅茶は栽培されています。

和紅茶と呼ばれる国産の紅茶は、海外産のものに比べて全体的に渋みや苦みが少なく

柑橘系やフルーツとの相性も抜群です。

紅茶用の品種としては、「べにふうき」や「べにほまれ」が代表的です。

 

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〜烏龍茶〜

 

烏龍茶は、青茶と書いて「せいちゃ」とも呼ばれます。

日本で中国茶というと、真っ先に烏龍茶の名前が上がりますね。

紅茶のような華やかな香りと、緑茶にも似た爽やかな香りが特徴的です。

 

烏龍茶は、半発酵茶に分類されます。

 

半発酵茶とは、

茶の葉の発酵途中で加熱することで、発酵を止めたお茶。

 

発酵度合いは緑茶が0%、紅茶が100%なのに対し、烏龍茶は10~80%と幅があります。

烏龍茶の主な産地は、中国。中でも華南文化圏の福建省や広東省で多く生産されています。また、台湾でも烏龍茶の生産が盛んです。

近年ではベトナムやタイの山岳地帯でも少しずつ生産が広がっているようです。

日本でも、一部で烏龍茶を生産していますが、その量はわずかです。

 

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烏龍茶

 

〜緑茶〜

 

紅茶の次に多い茶の種類が緑茶です。茶全体の生産量の約3割に当たります。

世界全体を見ると、紅茶の生産量が圧倒的に多くなっていますが、

最近は緑茶の生産量が増えています。

それに伴って、お茶の生産量全体に占める緑茶の割合も高まっているのです。

 

主な生産国は中国、ベトナム、日本、インドネシアで、

中国とベトナムは主要な緑茶輸出国でもあります。

 

中国は、世界全体の紅茶の8割強を生産するほど、緑茶の栽培が大規模に行われています。

アジアは、緑茶の伝統的産地として高い生産を誇ってきました。

近年では、アフリカでも緑茶の栽培が活発になっています。

 

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日本は、緑茶の生産第3位で、世界の生産量の4.9%を生産しています。(FAOSTAT 2017)

国内で栽培される茶のほとんどが緑茶で、その大部分が国内で消費されます。

海外からも日本の緑茶の評価は高く、

茶道に用いられる茶として宇治抹茶がよく知られています。

 

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今回は、様々な世界のお茶産地を見てきました。

同じ茶の木から、紅茶・烏龍茶・緑茶ができるのが不思議ですね。

いつもと違うお茶を味わってみてはいかがでしょうか。