d:matcha Kyoto newsletter - November 2025

こんにちは!いつもd:matchaをご利用頂き、ありがとうございます。d:matchaニュースレターチームより畑や新開発の商品、スタッフの近況をご紹介していきます。どうぞ、ご愛読ください。

 

和束で見つけた、小さな安らぎの場所 (Emma C.)

3月にインターンとしてお世話になったd:matchaをしばらく離れていましたが、ついに正社員として戻ってくることができました!本当にうれしく思っています。

この1か月は、良い意味でとても忙しい時間でした。秋の観光シーズンが最盛期を迎える中、チームとの再会や新しい仕事のリズム作りに励んでいます。私の主な担当はブランディング・マーケティング・ウェブ関連ですが、秋番茶の収穫を手伝ったり、ティーツアーで多くの新しい方々と出会ったりもしています。

和束には、心を落ち着かせる何か特別な力があります。朝はお茶畑の美しい風景と川のせせらぎに包まれ、午後は部屋に柔らかな日差しが差し込み、夕方には色鮮やかな夕焼けと鳥やコオロギ、セミの鳴き声に癒されます。世界のどこにいても、これほどの穏やかさを感じたことはありません。

最近のお気に入りの瞬間は、チームのみんなと一緒に『スマブラ』をしたこと、買い物のために自転車で和束の町まで出かけたこと、湯船の佐伯さんの陶芸工房を訪ねたこと、そして新しい部屋でゆっくりとピクセルアートを描いたりゲームをしたりする穏やかな日々です。

この1か月は、安らぎを取り戻し、自分のリズムを見つけ、目的を見つめ直す時間でもありました。これからも、この大好きな場所で新しい思い出を積み重ねていけることを楽しみにしています。

 

 

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抹茶がアートになる場所 (Mariko S.)

この夏、d:matchaのシャトルバスを降りて湯船の地に足を踏み入れた瞬間、まるで子どもの頃に見たお気に入りの映画の世界に入ったような気がしました。波のように続く茶畑と田んぼ、そして山の斜面に立つ木造の家々――そのすべてが一枚の絵のように美しく見えました。

d:matchaでのインターンシップを通して、こうした美しさが「お茶を育てる・淹れる・提供する」という過程にどのように反映されているのかを間近で見ることができました。d:matchaのチームは、お茶が時間をかけて習得される芸術であることを体現しています。有機栽培に注がれる丁寧な心配りと考え抜かれた工程、そして最終製品を生み出す創造性。そのすべてが一杯のお茶に注ぎ込まれています。煎茶、抹茶、濃茶、そして抹茶ラテ――どの淹れ方のレッスンでも、一杯のお茶にどれほどの繊細な注意が払われているかを実感しました。

インターンシップの期間中、私は絵を描くことへの愛と、茶畑で得たインスピレーション、そして現地の素材を組み合わせる機会に恵まれました。私のプロジェクトは、伝統的な画材に加えて抹茶を絵の具として用い、農園やお茶をモチーフにした絵画を制作することでした。お茶の試飲デモなどで出る、少量ながら廃棄されてしまう抹茶粉末を絵の具として再利用しました。

抹茶という自然素材で描くことは、とてもユニークな体験でした。描きたての絵は鮮やかな緑色で、使った抹茶の香りが立ちのぼります。お茶を味わうときのように、紙の上でも使った品種ごとの色や香りの違いを感じ取ることができ、奥みどり、ごこう、かなやみどりの鮮やかさと新鮮さを新たな視点で味わいました。時間が経つにつれて抹茶が酸化し、絵はやわらかく落ち着いた色合いへと変化していきます。

よりサステナブルな素材で絵を描きながら、有機栽培が時間とともに畑にどのような変化をもたらすのかについても学ぶことができました。有機栽培を行うd:matchaの茶畑は生命に満ちています。畑で一日働いていると、トンボ、カエル、カマキリ、さまざまなクモや昆虫たちが茶の木や周りの植物の中で生きているのが見られます。このような生態系は、虫たちが畑に戻り、健全なバランスを取り戻すまでに何年もかけて形成されます。有機栽培は慣行栽培よりも手間がかかりますが、茶の木の周囲に広がる生命の豊かさを見ると、その環境への恩恵は一目瞭然です。

d:matchaは、自然環境とお茶の伝統が融合し、ひとつの芸術作品のようなプロダクトを生み出している特別な存在です。この美しいビジョンが、私と同じように多くの人にインスピレーションを与え続けることを願っています。

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工場とスイーツ開発 (Sora N.)

こんにちは!11月に入り本格的に寒くなってきました。最近は番茶の収穫が始まって工場も始まりました。1番茶2番茶のときはすごく暑かったのですが今回は工場の中にいても肌寒いです。ですが碾茶炉のそばにいるとちょうど良い気温になって結構快適です。番茶の加工は芽の詰まりもあまり起きないし、芽の切り替えもないので正直一番と二番茶よりも気が楽です。ですがこの気の緩みが大きいミスにつながるので11月も気を緩めず、責任感を持って頑張りたいと思います。

 また9月から10月にかけてツアーで提供する大福を開発しました。私自身D-matchaでスイーツ開発をするのは初めてでしかも大福も作ったこともなかったので少し形になるか不安でした。試作する前は豆乳クリーム大福にする予定でしたが、豆乳クリームを作る際に一度凍らせる工程が必要で、時間と手間もかかるので、中の餡は結局、豆乳無しの抹茶餡にしました。
この大福はオンライン販売はせず、ツアーで提供するだけなので製造数は少なく、会社自体に大きな利益を生むわけではありませんが、美味しく仕上げてツアーの満足度を上げることができたら思います。私は正直、もっともっと美味しく仕上げたかったので豆乳を使いたかったのですが、味わいと、製造・提供オペレーションとのバランスをとるのも大切だと学びました。また試作については意外とスムーズに進んでいき、2回目で形になりました。

普段趣味で家で作ったり、毎月書いているニュースレターなどで自分で味や工程など一から考えて作っているのでその経験が役に立ちました。まだ大福に関しては餅が少し固かったりなど改善点はたくさんあるので頑張りたいと思います。これからも商品開発があると思うので、自分の得意なことで会社に貢献できれば良いなと思いました。

 

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抹茶ピクニック (S. Mahdaria)

今年の秋は、思っていたよりも早くやってきました!紅葉の色づきよりも先に、空気が一気にひんやりしてきて、それで季節の変わり目を感じています。宇治の茶づな(お茶の博物館)の前にある木は、風に合わせてしなやかに揺れる枝がとても美しくて、まるで「ピクニックにおいで」と誘ってくれているようでした。

気づけば、すでにそこで2回もピクニックをしていました!
1回目はタイ出身の抹茶インフルエンサーの友人と、もう1回はマニラで抹茶カフェを経営しているフィリピンの友人と一緒に。お茶――抹茶という共通の好きなものを通して知り合うことができて、とても嬉しかったです。数杯の薄茶を点てながら、日本の和菓子とお互いの国の伝統菓子を一緒に味わいました。新しい友人との出会いだけでなく、お互いが好きな抹茶について語り合える時間が本当に幸せでした。

子どもの頃からピクニックに憧れていましたが、実際に記憶に残っているのは幼稚園の時に行ったピクニックだけです。友達とキャンプに行くことはあっても、キャンプで食事をするのと「ピクニックをする」というのはやっぱり違いますね。
そして今のピクニックが特別なのは、どれにも必ず抹茶があることです。

最近では、インドネシアでホームカフェを営むオンライン抹茶講座の生徒さんたちが、私に会うためにわざわざ和束まで来てくれて、一緒に抹茶ピクニックをしました!もちろん喜んでおもてなしをして、6種類の抹茶(ブレンドとシングルオリジン)を点てて楽しみました。
彼女たちが来てくれたおかげで、本当にたくさん笑いました!いつ以来かわからないくらい大笑いして、笑うことが大好きな私にとって、それがどれだけ嬉しいことか。
あんなに笑える時間を過ごせたとき、「ああ、この人たちと出会えてよかった」と心から思いました。

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専門学校にての日誌登板 (Seiya H.)

 

今月は茶道の専門学校での当番の話をさせていただきます。

1年生の頃から週に2回ほど行われていた当番が日誌当番、略して日当(にっとう)がありました。

日当は全学年に1〜2人ずつ日替わりで決められ、全員共通の内容としては、各クラスはその日の先生に抹茶をお出迎えして抹茶を差し上げるところです。

学年によって異なる内容としては、まず1年生は朝礼の1時間半前に登校して、廊下と階段の清掃です。1時間ほど清掃を行い、3年生(最上級生)の先輩が来られたら綺麗に清掃されているかチェックします。中には非常に厳しい先輩も居て茶道は美意識が大切という心がけを日常生活でも取り組まれるように、清掃においては電気のスイッチやエアコンのリモコンの上部分等も埃が取れているかを容赦無く確認されました。

個人的に一番大変だった日当は2年生でした。2年生はその日の茶室にかざられているお花、軸に書かれている禅語を調べて記入する事でした。これらは別の当番の同級生が事前に準備したものを記入する形になります。禅語においては崩字の為解読にも時間がかかり、予め買っておいた禅語辞典を調べながら短時間で書き上げました。それよりも難しいのが花の記入でした。学園には毎週花屋さんから花が届くので、その注文票を確認して、花の名前を検索したら出てくるのですが、時と場合には同級生が寮や住んでるアパートから花を持ってくるパターンもあったので、そうなると花を調べるのが非常に困難でした。主に椿は茶花では愛用されますが、椿だけは品種も適格に書くルールがあった為、学園の図書室にあった椿百科事典を調べては記入してました。

1、2年生の内容を全て確認して訂正するのが3年生の仕事で、2年生のメモを確認して(花の名前等適当な物になっていないかどうか等)清書として日誌を書いて事務所に提出します。

個人的には2年生の日当の経験があって、茶室で抹茶をより楽しめる軸と花の勉強に繋がったと個人的に思います。 

椿は写真のように

満開ではなく、花びらが開いてない状態が主に使用されていた為、使用できるタイミングはかなり限られていました。

 

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日本茶の値上がりが日本人の生活に及ぼす影響 (Misato T.)

 

ご存じの通り、2025年は日本茶の市場価格が急騰しています。

一番茶と二番茶で昨年の約2~3倍程度、三番茶ではなんと5~8倍程度にまで値上がりしています。これは、世界的な抹茶需要の急増によるものです。

 

10年前にd:matchaを始めた際には、まさかこのような事態になるとは予想してもいませんでした。その頃は、日本茶の消費は日本人によるものであり、煎茶の方が需要が強く、抹茶は茶道を嗜む人が購入する程度でした。しかも、日本人の煎茶離れ、茶道人口の減少が進んでいたため、需要は縮小し、日本茶の市場価格は低迷していたのです。

D:matchaでは、この需要はなんとか増やそうと、抹茶スイーツの促進、ブレンドティー、シングルオリジン煎茶、被覆期間別煎茶の開発など、抹茶の新たな使用用途を開拓するよう必死でした。特に抹茶に関しては、日本人にとっては宇治の老舗のブランドが強く、日本人向けに抹茶を販売するのは大変だったのを覚えています。ブレンド茶が主流だった10年前に、シングルオリジンという新しい考え方を日本人に理解させるのは一苦労でした。

近年の日本茶価格の上昇は、茶農家としては非常に喜ばしい出来事ですが、一方で、日本の消費者にとっては、今まで買っていた抹茶や煎茶が在庫が無くて買えない、またはあっても非常に値上がりしていて手が届きにくいと感じる方もいると思います。ペットボトルの原料である秋番茶も値上がりしているので、身近なペットボトル茶も値上がりするかもしれません。

販売側としては、それでも抹茶や煎茶を買って飲みたいと思える魅力的な商品作りや見せ方が必要だと思っています。消費者側が高くてもいいもの、おいしいものを買うという選択をしていただけると良いです。

 

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畑のこと: 秋に収穫される芽 (Hiroki A.)

 生葉の収穫が機械刈りで行われる近代的な茶業では。この関係上、新芽が収穫される前に新芽が生えてる樹冠を整える剪定作業が行われる必要があります。剪定を行うことで樹冠が滑らかに整えられ、新芽が揃って伸長することができ、その面に沿って収穫することで、新芽だけを効率よく収穫することが出来ます。特に収益率が最も高い1番茶の為の剪定作業は、多くの場合秋に行われます。秋に行われる剪定作業では土壌への過度な有機物の導入を抑えてる事と、秋芽の有効的に利用をする目的のため、収穫機で秋芽を収穫しながら剪定を行います。この時収穫された秋芽は通常の加工工程を通り、完成された製品はさまざまな用途で使用されます。

 秋芽の特徴は、夏から秋にかけて長期間成長しているため、茎や葉が硬化しています。茎は黄緑色からちゃいろへ変化して硬く木化しています。葉の様子も異なり、表面はクチクラ層の発達により光沢を帯びていて、色は濃緑色でごわついた形をしています。秋芽は、アミノ酸含量が低くカテキン比率が高いと言われていますが、その多くが食物繊維で構成されているため、秋芽で入れたお茶は意外にもスッキリとした味わいがします。この秋の芽の最も適した使い道がほうじ茶で、ほうじ茶にすると香ばしく味にくどさがないスッキリしたものになります。

秋芽が収穫される前の茶園と秋芽の様子

 

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YOUTUBEチャンネル アカウント名:d:matcha Kyoto Tea School

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