d:matcha通信 2025年8月
d:matcha Kyoto newsletter - August 2025
こんにちは!いつもd:matchaをご利用頂き、ありがとうございます。d:matchaニュースレターチームより畑や新開発の商品、スタッフの近況をご紹介していきます。どうぞ、ご愛読ください。
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2番茶の感想 (Sora N.)
みなさんこんにちは!!7月は2番茶の収穫があり、私は工場の毎日でした。1番茶の時よりも慣れてきて作業がスムーズになりましたが、逆に慣れによって小さなミスを起こしてしまうことが多々あったので他の仕事でも気を抜かず責任を持ってやっていきたいと思います。二番茶の芽は一番茶の芽より水分量が少ないため、芽が詰まることはあまりなかったのですが7月なので一番茶の時よりも暑いです。200℃の碾茶炉が稼働しているので工場の中はサウナ状態になるので私は1ヶ月で2〜3kg痩せました。これからもっと暑くなるので体調管理だけは気をつけていきたいです。一番茶と二番茶を比べるとやはり一番茶の方が高価です。それは一番茶は冬の間蓄えられた栄養分が新芽に凝縮され、旨みと甘味の成分であるアテニンが豊富で爽やかな香りがするからだそうです。また2番茶は一番茶の後に成長するためカテキンが多く含まれるので苦味が強いのが特徴とされていて、2番茶はカテキンが1番茶のより豊富なので抗菌効果や生活習慣病の予防に役立ちます。普段は二番茶で特別な時は一番茶にして飲み分けするのもいいかもしれません。
1番茶の時は収穫する機会がなかったのですが今回は少しだけ収穫する日がありました。今月はインターンがたくさん来ているので大人数で農業することになったのですがインターンの方達はあまり経験がないので指示をしなければなりません。しかし私は英語が全く喋れないのでうまく指示できないこともあったのですが、自分が積極的に動いてインターンの方たちに真似してもらうというやり方が意外とうまくいき効率よく作業が進められた気がします。1年前の私は逆に教えてもらう側だったので成長を感んじました。これから菓子製造が増えてまっちゃらばーさんとのコラボも始まるのでいつも通り頑張りたいと思います。来年も碾茶工場を任せられると思うので次は蒸しの設定も自分でできるようになりたいです。
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ティービジネススクールでの2年目の指導(S. Mahdaria)
昨年、d:matcha サマーティービジネススクールで「抹茶品種比較」の講師を務めることで、茶の指導スキルを磨く素晴らしい機会を得ることができました。教えることはいつも私の情熱であり、かつて大学講師やスタートアップメンターとして活動していた経験は、分野を日本茶業界に移した今でも深く心に響いています。
今年は、さらに深く関わることになりました。最初の段階から大樹さんと一緒にカリキュラムや各クラスの内容を考え、味里さん、裕樹さん、アランさんとも密に連携し、それぞれのセッションの詳細なアクティビティを計画しました。その過程は楽しく、とても刺激的でした。
私の担当セッションでは、薄茶、抹茶ラテの品種比較、ミルクブレンドの技法など、さまざまな内容を教えました。学生たちが新しいことを学ぶたびに見せる驚きと喜びの表情を見るのは、本当にやりがいを感じる瞬間でした。
指導以外にも、ウェブサイトやSNS向けの写真・動画撮影も担当しました。マルチ時に大変でした。このプログラムの成功のために、休日まで返上して全力を注ぎました。
プロジェクトが終了した後、自分へのご褒美として静かなアートの島、直島へ。2日間滞在し、休息とリフレッシュ、そして必要だった自分だけの時間を過ごしました。とてもリフレッシュでき、仕事とプライベートのバランスを見つける大切さを改めて感じることができました。
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ビジネススクールで茶道体験
割稽古(わりげいこ)に挑戦?(Seiya H.)
去年同様、d:matchaでは ビジネススクールで海外からお茶について学びたい生徒さんが訪れ、私は彼らに茶道のお点前を披露しました。今年もその機会がありましたが、去年よりも人数も時間にも大幅に増えた為、今回は何をしようか色々考えました。
濃茶を飲んで、薄茶を点てて、お点前を見ていただく所は変わらないのですが、更に生徒の皆様にどのように楽しんで頂くかを考えた結果、割稽古をする事にしました。割稽古とは、お点前で行う基本動作(お辞儀の仕方、歩き方、道具の基本的な持ち方や扱い方等)を学ぶ、茶道を継続する上では欠かせないです。
実際に僕は通常のツアーでも『茶道の最初の1ヶ月は歩いたりお辞儀したりするだけの日々の方も居ます。いやぁ、今笑われてる方もいらっしゃいますが、そのお気持ちよく分かります。僕も冗談だと最初は思ってましたが、いざ初めてみると、それくらい習慣づけしないといけないというのが身に染みました』とお客様方に語っています。
今回は生徒の皆様にも実際に畳の上でお稽古でやるように歩いて頂きましたが、実際に歩いてみてこんなに大変なのかと悪戦苦闘される方もいました。他にも道具の扱い方、お辞儀の仕方やそれぞれに関する理由等の説明も加え、日本と茶道の文化をなるべくたのしんでもらえるようにレッスンを心がけました。
少しでも生徒の皆様には楽しんでいただき、貴重な時間になれたらなと願っています。?
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和束町の歴史② (Misato T.)
D:matchaの店舗と畑は、この白山神社の周辺に位置しています。まさにd:matchaは白山神社のお膝元で商売をしています。白山神社は湯船の氏神である同時に、d:matchaの守護神ともいえる存在です。今日はこの白山神社の歴史について見ていきたいと思います。
湯船・白山神社
白山信仰とは、石川県、福井県、岐阜県にまたがる白山を対象とする山岳信仰のことです。白山は、富士山、立山と並ぶ日本三名山のひとつで、古くから自然の恵みをもたらす象徴として崇められてきました。修験道と神仏習合の影響を受けながら発展し、五穀豊穣、大漁、縁結びなど、人々の生活に根ざした幅広いご利益があるとされています。
こちらが白山です↓
「白山神社縁起」という湯船に伝わる古い書物によると、伏見天皇(1265-1317年)が金胎寺に御幸した際に、夢に加賀白山の神が現れ、「自分を祀れば、この土地一帯の天下泰平と安寧、五穀豊穣を守ろう」と言った、と書いてあります。そこで、伏見天皇の勧請により白山神社が作られたと書かれてあります。白山神社の宝篋印塔は1287年に作られており、だいたいこのころに白山神社の社屋が建てられたと推察されます。
白山神社の縁起には、白山信仰の開祖である泰澄上人(682ー)が金胎寺に修業しに来た際に湯船にも立ち寄ったことが記されています。湯船白山神社と金胎寺との関わり合いの可能性を示しています。(ちなみに、金胎寺は、泰澄が鷲峰山で修行中に食料が尽きた際、托鉢を空に投げると、麓の村から施物が入って戻ってきたとい「空鉢(くはち)の峰」という有名な伝承の舞台でもあります。)
また、白山神社の縁起には、竜の伝説について伝えられています。湯船多輪池(現在でいうどこを指すかは不明)には昔から九頭竜が住んでいて、その竜は平時はあまり形を見せないが、時々嵩高く巨大で曲がりくねった形を表すと書かれています。これは湯船で時々見られる深い霧のことを表しているのでしょうか?素敵な伝承です。
白山神社のすぐ近くには、白山神社の末社として大正時代まで熊野神社が存在していました。
熊野神社の宝篋印塔も1287年と、白山神社と同時期に作られたことがわかります。現在は神社は存在せず、跡地のみが残ります。
熊野神社後の宝篋印塔↓(d:matchaのhotelの隣です)
白山信仰も熊野信仰もともに、山岳信仰であり修験道との関わり合いが深く、また真言密教とも親和性があります。金胎寺も含めて、この地域の鷲峰山信仰の影響力の強さ、信仰の共通性をうかがい知ることが出来ます。
要約すれば、湯船・白山神社は、少なくとも750年以上の長い歴史を持つ神社であり、この一帯を守護する氏神として、古くから人々に崇拝されてきたということ。そのルーツは山岳信仰であり、金胎寺や修験道と深くかかわりあいながら創設されたことが推察されます。
この長い階段を、修験者たちものぼったのでしょうか。d:matchaではこの白山神社に、Adopt a tea treeのお客様の絵馬を飾っています。
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畑のこと-一番茶、二番茶を終えて (Hiroki A.)
7月の後半に最後の二番茶の収穫して今年度の茶期が終わりました。本年度の茶期は例年よりもやや遅めに始まり大きな霜害や病害虫の被害に見舞われることなく、計画通りの生産を行うことが出来て安堵した所です。スタッフやインターンも暑い中大変な仕事でしたが、怪我なく茶期を終えることが出来て本当に良かったです。
今年の一番茶、二番茶ともに大きく変わったことがあります。それは新設した自社のてん茶工場で加工を行ったことです。新しく出来たてん茶工場は昨年の秋ごろから本格的に建設がスタートして、今年の春先に出来上がった工場です。本年度の一番茶から加工を始めました。てん茶工場の主なプロセスは収穫した生葉を蒸して、蒸した生葉をてん茶炉と言われる巨大なオーブンで炙ることで行われるシンプルなものです。それゆえに、生葉を蒸すという工程が製品に与える影響は大きく、注意深く蒸し器の設定を調整しなければなりません。私は自社のてん茶工場ができる前にはすでに付き合いのある他のてん茶工場で働き各工程の調整を勉強してきましたが、主体的に運営を行ったのは今年度が初めてでした。やはり最初の方は慣れないもので、蒸し器の設定に苦戦しました。納得のいかない製品ありましたが、暇の時間を見つけては他の工場を見学したり有識者に助言を頂いたり少しずつ加工工程の理解を深めていけました。
てん茶工場の運営は、物理的に拘束される時間が増えて、茶期がより忙しくなります。収穫した新芽を切り替えるごとに、畑と工場を行き来して蒸し器の調整を変えたりと、大変な日々でした。しかし、責任を持って自社の商品を加工していくことは、そこに更なる工夫の余地が生まれより良い商品を作っていくことが出来ると思います。茶園の状態、収穫された新芽の様子、工場での製品の様子、そしてそれが二次加工で抹茶になった時の品質、これらの全行程の相関性を理解することで、更なる品質の向上に努めていきたいと思います。
てん茶炉の中の様子
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循環の中の多様性(Vitek F.)
農業という営みは、全体としてとても循環的な活動だと私は思います。つい先日、夏の収穫が終わり、年間でも特に重要な一つの節目を迎えました。それはとても満足感のある瞬間ですが、同時に少し寂しさも感じます。なぜなら、同じ瞬間がまた訪れるのは来年になるからです。
同時に、人間がこの壮大な自然のサイクルに従い、順応している姿はとても美しいとも感じます。人間の進化したテクノロジーにもかかわらず、最終的に自然の力の方が大きいということを私たちは目の当たりにしています。残念ながら、どんな収穫になるのかは毎年コントロールできるものではありません。天候を変えることもできません。そしてそれが生産にとって痛みを伴う結果になることもありますが、それでも私はそこに一つの「謙虚さ」を学ぶ価値があると思っています。「当たり前」は存在しないのだということを思い出させてくれます。
また、農作業が多様であることはとても良いことです。もし同じことだけを繰り返していたら、この循環の美しさは失われ、円が直線になってしまうでしょう。それでも、同じプロセスが毎年繰り返されることで、私たちはそのたびにより良くなるチャンスを得ることができます。新しい条件に適応し、試し、そして発見するのです。
私にとって農業は、自然とつながる美しい方法が今も存在しているということを日々思い出させてくれるものです。そして、私たちが自然と向き合い、手をかけていくと、自然はしばしばそのご褒美をくれます。心の安らぎと、もちろん、一年かけて育てた素晴らしい実りを。