d:matcha Kyoto newsletter - June 2025

こんにちは!いつもd:matchaをご利用頂き、ありがとうございます。d:matchaニュースレターチームより畑や新開発の商品、スタッフの近況をご紹介していきます。どうぞ、ご愛読ください。



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畑から工場へ:私が体験したてん茶づくりの現場 (Sora N.)

こんにちは!5月の半ばから1番茶の収穫が始まり、さらに今シーズンからてん茶工場も自分達でやることになりました。最近私は収穫ではなく工場に入ることが多く、1人で工場を見ることが多々あります。工場の中は機械だらけで普段とは違う仕事なのでやはり最初は緊張感があったり、私1人だけで見ているので責任感もありますが実際に加工しているところ間近で見れることはあまりないことなのですごく勉強になります。私自身てん茶の加工については何も知らなかったので知る良い機会になりました。また、収穫ほやほやの葉っぱを味見できるという点はこの仕事をやっていないとできないので抹茶好きとしてはたまらないです。やはり畑によって味が微妙に違います。苦味があったり、甘味が少しあったり様々です。味は収穫前の作業にどうしても影響を受けてしまうので加工ではどうにもできませんが、加工作業で葉の色については調整することができます。加工作業で一番大事な工程は蒸しです。蒸しをすることでエグ味をなくしたり、葉の色を調整することができます。蒸しが弱いと濃い緑色が出なかったり、えぐみが出てしまい、逆に強すぎると色が茶色っぽくなってしまって良い色が出ないので適度な調整が難しいです。蒸しの調整はまだ私は素人なので先輩がやっているのですが、工場を任せられてるからには最終的に自分でできるようになりたいなと思っています。

てん茶の加工は最初蒸しをして次に200℃のてんちゃろで芽を乾かします。次に葉っぱと枝を分けて機械で葉を細かくするというのが簡単な加工の流れです。下の画像を参考にすると下から生葉、蒸し葉、1回目の乾燥、一番上が乾燥が終わったら葉です。色が濃くなっているのがわかると思います。

 やはり機械は何かしらのトラブルが起きます。主に芽が詰まることが多いのですがそこで焦って詰まった芽を一気に流してしまうとまたどこかで詰まってしまうので少しづつ流すことが大切です。最初はトラブル続きでしたが現在は作業が固定化されてスムーズに作業できています。お茶は畑の数ほど味があると思っていてそのお茶の特性を活かした抹茶スイーツを作れたら面白そうだなと思いました。



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D:matchaのドローン初飛行 (S. Mahdaria)

昨年から、私たちの農園の美しさや、d:matchaの茶づくりの様子をドローンで撮影したいと思っていました。でも、d:matchaでのさまざまな活動に追われているうちに、その計画はすっかり後回しに…。でも、収穫のような大切な瞬間を記録せずに逃すのはもったいない!と思い、ついに実現することに。

そして、Daikiがドローンを用意してくれて、いざ初挑戦!正直、カメラや写真、ビデオには慣れているけど、ドローンは人生初で、内心かなりドキドキしていました。実は以前、インドネシアのラジャ・アンパットを旅した時、風が強くてドローンが空中で行方不明になったことがあって…しかも“自動帰還”機能をオンにするのを忘れていて、本当に戻ってきませんでした(泣)。その経験から、正直かなり不安もありました。でも今回は、慎重に、そしてしっかりと操作に慣れることを意識してトライしました。

そして…なんと!!初飛行は大成功!無事に飛んで、無事に着地!!もう本当に嬉しくて、恐怖心を乗り越えられた自分が誇らしかったです。

最初に撮影したのは、d:matchaの裏手にある川沿いの宝春(ほうしゅん)とこまかげの幼木茶畑。まだドローン用のメモリーカードがなかったので、画質はちょっと低め。でも翌日にはGoProのメモリーを借りて、再チャレンジ!今度は、湯船(ゆぶね)の国道沿いの畑だったのですが、車が通るし、電線も多くて…かなりハラハラする場所でした。

その数日後、ようやくドローンにぴったりのメモリーカードが手に入りました!しかもその日はちょうど、d:matchaの裏にある美しいやぶきた畑の収穫日!絶好のタイミングで撮影できて、映像もとってもキレイに撮れました♪ 無事に飛ばせたし、素敵なショットもたくさん撮れたし、本当に嬉しくて幸せな気持ちでいっぱいです。少しずつ、ドローンの操作にも自信がついてきましたよ!でも、もっとスムーズに撮れるように、引き続き練習は必要ですね。

今のところ撮れた映像の一部を、ぜひお楽しみください!私が感じたワクワクや感動が、少しでも皆さんに伝われば嬉しいです。



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碾茶の手摘み (Seiya H.)

皆様が飲まれてる煎茶が収穫されてる畑から歩いてすぐの所に、毎年玉露を収穫してる畑があります。玉露用の畑は 被覆棚 (ひふくだな)と言って、抹茶(または碾茶)は黒い布で日光を遮光する時に直接茶葉に布団のように被せますが、被覆棚はテントやカーテンのように茶葉に直接当たらないように被せます。

今回はこの被覆棚の1部を手摘みで行うことになりました。手摘みは今までは煎茶の為に別の山で行いましたが、その時は早朝に急な坂道で踏ん張りながら積んでいましたが、今回は割と平地な畑で無我夢中に茶葉を摘み続けました。煎茶を手摘みで販売してた時は、話題性もあり、その茶葉も他の畑とか異なる香り(おなじ品種でも) を楽しむことが出来ました。

摘むコツとしては、茎は取らず、茶葉そのものをなるべく摘むことを心がけた結果、まるで鹿が食べた跡のような見た目になりました。

これから収穫した後の味見をまだしていませんが、普段機械で収穫するのとどれだけ味が変わるかもとても楽しみです。



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第9回 仕立て加工①煎茶 (Misato T.)


5月の下旬になると、様々なお客様から新茶(煎茶)の販売はいつですか?という質問を受けます。しかし、収穫が終わったからといってすぐには新茶を販売することができません。なぜなら、茶は一般的に販売するまでに「仕立て加工」が必要なのです。


茶は2回も加工が必要

茶という商品は、一般的な農作物よりも販売できるようになるまでに多くの加工工程を要します。茶業への新規参入が難しい理由の一つは、この加工工程の多さにあると言えるでしょう。


一次加工は収穫後すぐに

日本茶は茶葉を収穫したのち、茶葉の酸化が進むのを防ぐためにすぐに加工を行う必要があります。一般的に、収穫が終わってから数時間内、長くても半日ほどで一次加工を始める必要があります。(しかも、一次加工までに長く待つ場合は、茶用の保存コンテナに入れて風を常に送らなければなりません。)このように収穫から加工まで急を要するため、茶の一次加工を終えるまでが農家の仕事になるのです。

茶農家における繁忙期の生活は過酷です。朝早くからできるだけ多く収穫を行い、その後午後から夜中まで一次加工を行います。(睡眠時間を削って加工までを終わらせなければならないので、収穫加工のピークシーズンは体重がみるみる減っていきます)

収穫・加工を一軒の農家で完結するのは大変なので、数件の農家で共同工場を運営し、工場の運営を共同で行うことで業務の効率化を図る例もあります。



「荒茶」とは?⇒一次加工を終えた茶葉

一次加工が終わった状態の茶葉を「荒茶」と呼びます。一般的には、農家は「荒茶」を、茶市場などで茶問屋に販売しています。



二次加工(仕立て加工)は

「荒茶」から、茎・古葉・粉などの不要な部分を取り除いて本製品を得る工程が必要です。この工程が二次加工、または仕立て加工、仕上げ加工、または製茶などと呼ばれます。この二次加工を手作業で行うのは膨大な時間がかかるため、二次加工用の特別な機械が必要です。農家単体でこのような製茶機械を取得するのは投資負担が大きく、また非効率的であるため、一般的には茶問屋が二次加工用の機械を保有し、茶農家から買い上げた荒茶を二次加工しています。


どんな茶葉に二次加工は必要か?

特に被覆栽培を行った茶葉は、二次加工が必要です。被覆栽培を行うと、茎が伸びるため、荒茶の状態では茎の含有量が大きく茶葉本来の味わいを楽しむことができないからです。

経験から言って、被覆栽培を2週間以上行った煎茶や碾茶は二次加工が無いと商品として販売することはできません。一方で、被覆栽培を行っていない露地栽培の煎茶は、荒茶の状態でも十分に美味しく味わいを楽しむことが出来ます。むしろ、荒茶ならではの茶葉本来のフレッシュな香りも楽しめる良さもあります。



煎茶の二次加工

今回は、煎茶の二次加工について見ていきます。

二次加工の主な工程は、選別と乾燥です。


選別

裁断機、ふるい機によって大きさ毎に選別し、風力選別機により軽い葉を除去します。電気選別機、色彩選別機で茎を除去していきます。

このような工程を経ることで、荒茶は、「出物」と「本茶」に分けられます。

「本茶」を選別後に煎茶として販売します。

「出物」は選別後に残る本茶には不要な部位であり、茎・大きすぎる葉・粉等に分けられます。この「出物」を単に捨てることは無く、「出物」の活用方法は企業によっても様々です。茎部分を集めて茎茶(雁が音)として販売することもできますし、茎を焙じてほうじ茶としても販売できます。大きすぎる葉で品質の良いものは裁断して本茶に混ぜ込み、大きすぎる葉で品質の低いものは番茶や玄米茶に混ぜ込むこともできます。粉部分は、粉茶(寿司屋などで出される茶)として販売したり、ティーバックに混ぜ込むこともあります。


乾燥と火入れ

選別した茶を乾燥することで水分含有量を一層下げ、長期保存により適した状態にすることが出来ます。一般的な荒茶の水分含有量は約5%ですが、二次加工における再乾燥により水分含有量を約3~4%程度に下げます。また、乾燥の方法によって、火香とよばれる独特の香ばしい香りをあえてつける場合もあります。顧客によっては火香が強いものが好まれることもありますし、茶葉の品質によって、火香をつけたほうが美味しく感じることもあるためです。


茶が販売できるようになるまでにこんなにたくさんのステップがあるのです。

 


写真:荒茶

写真:仕立て加工後の茶葉


写真:出物(茎)





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