d:matcha Kyoto newsletter-September

こんにちは!いつもd:matchaをご利用頂き、ありがとうございます。d:matchaニュースレターチームより畑や新開発の商品、スタッフの近況をご紹介していきます。どうぞ、ご愛読ください。


-d:matchaの畑のこと (by Hiroki.A )

 有機栽培圃場について


 D-matchaでは有機栽培管理を行っています。近年有機栽培の製品の需要と、持続可能な自然負荷が少ない管理を目指すため徐々にその管理面積を増やしております。

 有機JAS認証の枠組みの中では、栽培管理では原則的に化学合成を行った肥料や農薬を使うことが出来ません。そうすると慣行栽培のように化学的な方法で病気や害虫からお茶の芽を守ることが出来ません。有機管理の茶園ではお茶の木は自らの生命力で樹勢を維持するしかありません。有機栽培での管理では慣行栽培以上にお茶の木の状態と向き合い管理していく必要があります。

 有機栽培での一番重要な課題は、健全な母葉を充実させることです。母葉とは一番茶を支持する枝や葉を意味します。これらは夏から秋にかけて成長し、秋に剪定された後、来年の春新芽が生える基盤になります。この母葉の充実なしには高品質なお茶を作ることが出来ません。この母葉は病害虫の発生頻度が高い夏場に成長します。病気は天候によって発生頻度が変わり、害虫は周期的にその数が変動します。D-matchaでは梅雨時期の湿った気候や害虫の周期的な増加を回避するため、基本的に有機茶園では二番茶を収穫しません。また、深く剪定を行ったり、八月前の病害虫を回避するため、通常行わないタイミングで剪定を行ったりもします。品種によっても病害虫の被害は異なり、年によっても害虫の変動周期は変化します。これらを見極め、茶の木のコンディションを考慮しながら管理方法を決定するのは至難の技で、毎年毎年勉強の毎日です。

左:病害虫を回避して、のびのびと成長する、病害虫に強い品種ゴコウ

右:新芽が病害虫増加時期に出芽してしまい、芽がやられてしまった品種オクミドリ

-dmatchaスタッフのお茶研修(by Natsuki)

 リピーターのお客様から、茶葉を買って同じように淹れても和束で飲む味にはならないという声を頂いて、もしかしたらそれは水が原因ではないかという話になりました。そんな疑問を解決すべく、先日硬度が違う約10種類の水でお茶の飲み比べを実施しました!

フランス産の硬水(1468mg/l)から鹿児島の温泉水(1.7mg/l)まで揃え、品種は「おくみどり」を使用して茶葉の量(5g)、湯量(80g)、抽出時間(1分30秒)の同じ条件下で実験。

 私たちの予想では、硬水では味が出ないだろう、軟水であればあるほどまろやかで美味しいだろうと思っていました。結果、硬水を使用したら、渋み成分を感じることなくお茶の旨味成分が舌に残り、温泉水でも渋みなくまろやかな味わいに。硬度30mg/l ~ 60mg/lの水では渋みが強い味わいに。和束町の水の硬度は11.7mg/lなのですが、同じような硬度のミネラルウォーターは渋み、旨味のバランスがとれた和束の水で淹れたような近い味わいになりました。

 硬度だけでは決めつけることはできませんが、その土地の水の硬度に近いミネラルウォーターを使用することでその茶葉の持つ良さをうまく引き出して味わうことができるのではないかと思います。

水とお茶の関係は深く、大変勉強になった研修でした。

- 持続可能な農業を目指して(by Chisei.T)

        pic.1  8/10のウコン         pic.2  8/24のウコン     pic.3 茶殻&土に還るT-bag

 私は3~5煎飲んだ後の茶殻をタッパーに移し冷凍し、ポン酢をかけてお浸しとして食べています。今年は長雨と厳しい暑さにより野菜の高騰が著しく、茶殻お浸しは野菜の代替品として我が家では大活躍してくれています。

 しかしながら、私は一日のお茶を飲む量がとても多く食べきれないので、実験も兼ね茶殻を家庭菜園(ウコン)の肥料として使用しています。茶葉は元来多くのアミノ酸を有し、お湯で抽出された後の茶殻にもお湯で抽出されないアミノ酸を含む窒素分やその他多くの栄養素が残存しています。それらを土壌中の微生物や酵素が徐々に分解し植物が成長に使いやすい形態にしてくれるのです。植物は窒素が足りなくなると葉が黄色くなります。ウコンに茶殻を与えたところ窒素欠乏気味で黄色かったウコンの葉(pic.1)が茶殻を与えて4日後にはウコンの葉の色は緑が濃くなり、2週間後にはpic.2のように生育も改善されました。

 窒素は空気中に存在するため他の肥料成分と比べ有限ではないですが、窒素肥料を人工的に作り出すためには大量のエネルギーを要し多くの化石燃料が消費されています。まだまだ実験のための予備実験のステージではありますが、将来的には茶殻を使って農作物を作ったり肥料化など有益な資源を捨ててしまうのではなく、有効的に活用できたらと考えています。

 

 d:matchaのお煎茶の商品の中でも多くのものが荒茶と言われているものになります。

荒茶とは収穫したお茶の葉を蒸して発酵を止めて揉んで乾燥したものを言います。

お茶農家は荒茶をよく飲みますが一般的にはいくつかの荒茶の茶葉をブレンドしたり粉を抜いたりと加工されたものが出回ってるかと思います。それぞれの味の良さはありますが、今回は荒茶の魅力についてお伝えします。


荒茶の特徴は茶葉が大きく茎や粉なども入っていてお茶の葉っぱの本来の味、香りが堪能できます。お米にコシヒカリ、キヌヒカリなどの品種があるようにお茶の樹にもたくさんの品種があり、荒茶を飲んでいただくとその品種ごとの違い、土地の違いなども味、香りに現れるのでその違いを知っていただけるのも魅力の1つかもしれません。


より美味しく煎茶を楽しんでいただくために、1煎目は湯気がたつ程度の70度ほどで淹れていただくと香りも味もしっかりと味わっていただけるかと思います。

お茶の品種ごとに香り、味それぞれ違うので飲み比べてもらうのもオススメします。

- 畑にやってきた仲間たち (by Ryhan)

日本では夏のもっとも暑い時期に入っています。小さな虫や生き物たちが私たちの畑にやってきています。私はその様々な種類や色の生き物たちに少し圧倒されており、これはもう彼らがやってくるのを受け入れるしかありません。

どんな仲間がやってくるかというと、バッタ、カマキリ、蝶々、あるいはカエルやトカゲ、トンボ、蛾、みつ蜂やスズメ蜂と遭遇することができます。彼らがやってくると、茶の木の状態を示してくれる良い役割も担ってくれています。


という訳で、彼らのような生き物たちは他のものよりも歓迎されるはず。農家にとっては、アブラムシや蜘蛛の巣なんかはペットというよりはむしろ一緒にお茶を育ててくれる仲間であります。そんな彼らに尊敬の念を持ちながら美味しい有機栽培茶ができるように一緒に力を尽くします!


- d:matcha商品の2020年の豊富な煎茶ラインナップ(by Misato.T)

 

 今年は少量多品種で様々な種類の煎茶を収穫しました。改めて振り返ってみると、その商品数は煎茶15種類!煎茶の奥深い世界を体現するのにふさわしい、マニアックな商品ラインナップです。

思い返せば、例年は5月の新茶シーズンには農作業と店舗営業のピークが重なり、猫の手を借りたいほど忙しいのですが、今年はコロナ自粛の影響で店舗営業を縮小した結果、農作業の方に労力を傾けることができました。それが、今年のお茶商品拡充には幸いしたのでした。

 煎茶は、品種別/被覆期間別/畑別で味わいが異なります。また、農産物ですので、その年の天候や畑の管理状況により、毎年味わいが微妙に変化します。変数が多いからこそ、作り手としても飲み手としても日々驚きや発見があって楽しいのです。

ただ、マニアックな世界でもあるので、そういった驚きや楽しさを、できるだけわかりやすくより多くのお客様にお伝えできるよう頑張っていかねばと思います!(写真は、煎茶の一例です)


- d:matchaのこと(by Daiki.T)

 8/20、京都やましろJAの和束町支店で、有機栽培茶の研修がありました。和束町で30年以上も有機栽培茶の栽培経験をもつ、ベテラン農家さんや、最近新規就農をして、自然農を始めようとする若手など20名以上の参加者が集まり、自分達の栽培する有機茶の成分分析と、全国の有機茶も含めた見本茶の品評会を行いました。 

 d:matchaでは、日本一美味しい有機栽培煎茶をつくることをまず目標に、年々有機栽培の面積を拡大しています。まず、成分分析で嬉しかったことは、旨味成分が非常に高く、1級品の質が無農薬栽培でも保たれていることが、科学的に証明されたことです。今年は、菜種油カスや、牡蠣の貝殻、魚粉など、有機資材を土に与えながら、湿度が溜まらないように刈り込んだり、試行錯誤しながら挑戦しております。非常に興味深いのは、場所や品種によって、虫害や病害に差が大きく異なることです。やはり、京都の栽培には京都品種が向く、ということが有機栽培で一層実感をしているところです。 

代表取締役  田中大貴 


YOUTUBEチャンネル 

アカウント名:d:matcha Kyoto Tea School

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