こんにちは!いつもd:matchaをご利用頂き、ありがとうございます。d:matchaニュースレターチームより畑や新開発の商品、スタッフの近況をご紹介していきます。どうぞ、ご愛読ください。

 

- 有機栽培や農薬不使用栽培について (by Daiki T)

 D-matchaでは、2017年よりお茶栽培については年々農薬不使用栽培での面積を拡大させています。当初、こうした栽培方法に着目したのは海外含めそこにニーズがあるからと判断したからですが、農業に携わるようになり、自然に近い方法で自然のサイクルを中心に作物を育てることの面白さ、自然の偉大さ、そこから齎される味わいに感動し、また勉強をさせていただいています。 


 「有機栽培」と日本でいう場合、認証機関に有機JASの基準を満たしているか否かがポイントになります。ですので、有機JASは、農薬も自然由来のものであれば使用OKですし、肥料などの資材は有機JASの認証がないと使用できません。例えば、家の食物残渣を発酵させて肥料として使用したり、近くの小豆会社から粕をわけてもらって使用するようないわゆる自然の循環に即した農法でも「認証がとれていないと」有機とはいえません。また、法人の場合、有機JASの認証を獲得維持するのに大きな費用(特に茶は、栽培と加工の2分野で取得する必要)を要します。したがって、D-matchaでは2018年に有機JAS認証を取得しましたが、更新しませんでした。 
  D-matchaが現在行っているのは、茶については、農薬不使用栽培、そこに菜種油粕や魚かす、魚かすなどを発酵させた肥料を畑の性質や作りたい茶のイメージに併せて設計し、お茶を収穫させていただいた分、窒素やリン、ミネラルなどをお返しする、といったイメージで施肥を行っています。こうした自然由来の有機肥料で栽培する、優しくて色んな味わいを情勢し、特に煎茶は香りや品種の差が出やすくなると実感しています。やはり、化成肥料や過度な有機肥料の施肥、それによる妨害中を防ぐ農薬の散布は、自然の原理原則に反して収量や味わいを求めた結果必要になるものであり、そうして作られた茶はある種、地の利いわゆるテロワールの差が出づらい、同じような茶になりがちと感じています。
  今年は、茶に加え、お米も農薬不使用栽培で収穫しましたが、初年度はヒエなどの雑草に大いに悩まされました。書物をあさって仮説を構築しながら、今年は田んぼを平らにする、蓮華やフェアリーベッチなどの緑肥の活用、そして耕しすぎないで好気性細菌の豊かな土壌をつくることを目指して、チャレンジしていきたいと思います。自然をリスペクトした農業はフィードバックが壮大なので、新しいことに挑戦しがいのあるとても知的好奇心をそそる素敵な仕事であると改めてその喜びを感じるとともにそうした仕事をさせていただけるお客様に感謝しております。

 

 

畑のこと (by Hiroki.A )

施肥

 一番茶二番茶の慌ただしい時期が過ぎ、来年の新茶のための準備が着々と行われています。その一つが施肥管理です。植物は主に、窒素(N)リン酸(P)加里(K)を主要元素に成長の糧にします。お茶に関してもこれらの要素を中心に施肥していきます。

 多くの作物は、その収穫物と嗜好性は炭酸同化物に依存します。例えばお米ならデンプンの総量が収量と相関しますし、リンゴやミカンなどでもその甘味を構成する要素は糖です。一般的な作物において、肥料とはその植物体を健全に育て、炭酸同化物を多く生産するためにサポートする目的なものです。一方、日本茶では、もちろん木の生育を健全に育て保つという意味合いも含みますが、窒素(N)においてはそれそのものが収穫物の量または品質に直接的に相関するという意味で大きく異なります。お茶にうま味や甘味の味わいを与えるアミノ酸を構成する主要な物質は窒素(N)で、アミノ酸含量を高めるためには窒素(N)の積極的施肥が重要です。極端なたとえをすると茶生産においてより多くの窒素を収穫するためにより多くの窒素を施肥していると言い換えることができると言えます。もちろんお茶の魅力は単なるアミノ酸含量だけではありませんが、お茶の施肥を考える上で窒素(N)は非常に重要で、ほかの作物の場合とは別な考え方が必要になります。

  

 

 

‐熟成宇治抹茶モンブランケーキの誕生秘話 (by Natsuki)

「d:matchaの商品の中で一番美味しい・・・」2万人を超える抹茶インスタグラマーさんたちに絶賛の声を頂戴している、究極の抹茶モンブランケーキ。私たちが目指すのは、もちろん、抹茶が主役になるモンブラン。最近のモンブランスイーツはまるで栗をそのまま食べているかのような感覚になる和栗の上品な甘さが十分に生かされたものが多く、高級なイメージのモンブランを扱うのは、少しハードルが高い抹茶スイーツへの挑戦となりました。試作段階では、抹茶ダマンド生地や生抹茶チョコの印象が強く残り、栗の存在が分かりずらかったりと、個性が強い抹茶と栗の調和が保てるレシピになるまで焼いて試しての繰り返し。味はしっかり抹茶だけど、中に栗をゴロゴロ入れ、食感で栗の個性を出しました。きっと食べていて、栗がどこいったー!ってことにはならないでしょう。ただ抹茶が美味しいだけではない、栗好きの人も喜んでいただけるそんな一品。

写真に撮っても食べても満足度200%な”抹茶モンブラン”になっていれば幸いです。

 

 

- 和束に来たら是非訪れてほしい場所 Part2(by Chisei.T) 

 

 7月号では和束町に来たら是非訪問してほしい場所として「安積親王陵墓」をご紹介させて頂きました。今回は、和束町屈指の紅葉の名所「正法寺」をご紹介させて頂きます。奈良をよく訪れる方は近鉄奈良駅にある行基菩薩像を一度はご覧になったことがあるでしょう。行基は奈良の大仏で有名な東大寺建設の責任者として携わったお方です。正法寺はその行基が安積親王の菩提を弔うため、744年に建設された和束町にあるお寺で、今でこそこじんまりとしていますが、創建当初はかなりの大寺院だったそうです。

正法寺は穴場ながら、知る人と知る紅葉の名所で境内には石のテーブルと石のイスが設置されており、釜塚山を違う角度から楽しむことができます。お寺の敷地内には可愛らしい赤い毛糸の服を纏ったお地蔵さんとも出会えるはずです。例年ですと11月上旬にはイチョウが、中旬から下旬にかけて、ヤマモミジやカエデなどが楽しめます。

D-matchaではお茶のピクニックセットの貸出しも行っています。時を忘れ、赤く燃ゆる紅葉と共に茶畑を眺めてみてはいかがでしょうか。

 

 

- 農業研究に勤しみます!(by Ryhan)

 私事ですが、今月から京都大学の大学院で農業を研究することとなりました。自分自身の農業についての研究をさらに突き詰めて行くことが目標です。仕事をしながら大学院に通うことができる機会をもらえて大変嬉しいです。

私が取り組む研究は、日本の農業遺産を守る手段としての農業の技術方について研究すること。これからお会いする農家さんや自分と同じような研究をされている教授にお会いできることにとてもワクワクしています。日本独自で築き上げてきた農業の仕組み勉強できることが楽しみであり、お茶以外の産業から学ぶことでd:matchaにも革新的なアプローチができると願っています。

近年のコロナの影響で親しい人たちに会いに行くことや新たな出会いも少なくなっていました。孤独を過ごす中でいつも心にこの言葉が浮かびます。

オーストリアの詩人、”ライナー・マリア・リルケ”

 ​​あなたの孤独は広くなり、次第にあかるくなる住まいになって、他の人々のたてる騒音は、その住まいの遠くを通り過ぎることになるでしょう。

自分が目指す場所へ導いてくださり、ご支援頂いた方々には多大な感謝しかありません。日本での農業の勉強が茶業関係にも新しい風を吹かせることができるよう精進していきます。


 

-お茶の収穫は何回できるの?(by Azusa.U)

急ですがお茶の収穫は年に何回できると思いますか?

お茶の収穫は年に4回出来ます。収穫時期が早い順に1番茶,2番茶,3番茶,4番茶(秋冬番茶)と呼びます。

一番茶とは4月から5月に収穫するお茶のことです。秋冬の間にお茶の木が休んでいるためお茶の旨味成分であるテアニンなどが溜め込んでいるので旨味の強いお茶に仕上がります。一番茶のテアニンの含有量は二番茶の三倍といわれています。

その後1ヵ月後から収穫するお茶を二番茶と呼びます。同じチャノキから摘み取る二番茶,三番茶は一番茶に比べて品質が落ちると言われており日照時間が長い時期に生育するため、「カテキン」を多く含みます。そのため一番茶に比べて苦く感じる人もいますが、抗菌・生活習慣予防などに良いとされています。品質が落ちてしまう分,通常のように加工され廉価な茶葉として販売される場合もありますし、ペットボトル茶の原料として買われる場合もあり、一番茶と比べると大きく値段は落ちます。

その後7月下旬~8月上旬によって収穫されるお茶を三番茶,9月下旬~10月上旬に収穫されるお茶を四番茶(秋冬番茶)と呼びます。夏以降に収穫したお茶は味も香りも著しく落ちるためほうじ茶に加工されたり,ペットボトル茶の原料として使われることが多いです。また秋冬番茶を収穫する農家さんは三番茶を摘み取らずじっくり育てて収穫をします。秋冬番茶は多糖体であるポリサッカライドが多く含まれています。ポリサッカライドには血糖値の上昇を抑える効果があり、血糖値が気になる方にもおすすめです。ポリサッカライドは熱に弱いので、水出しで飲むのが効果的です。

写真は実際に8月、畑に除草作業をしに行った時の畑の写真です

 

茶道の「茶歌舞伎」について(by Seiya.H)

 

茶道は「主人がお客様を抹茶でもてなすこと」がテーマですが、茶道の作法の中には数人でお茶に関するゲームを一緒に楽しむ「七事式」と呼ばれるものもあります(茶道の道を究める修行のひとつと位置づけられています)。その七事式のひとつに茶歌舞伎があります。

茶歌舞伎は通常6人(主人、4人のお客、一人の記録者)で行われます。通常の茶道では、お客はひとつの抹茶碗をシェアしてお濃茶をいただきますが、茶歌舞伎では5つの抹茶碗を使います。最低3種の抹茶を用い、別々の抹茶碗で出すのが特徴です。

主人はお客に1回目、2回目と違う種類の抹茶を点てます。3回目をお客に出すとき、お客には異なる抹茶の種類の名前が書かれた紙も一緒に配られます。お客は3回目の抹茶を飲むときに、それが1・2回目と同じ抹茶か、もしくは最初の2つの抹茶とは全く異なる抹茶かあてなくてはなりません。紙に答えを書いて箱の中に入れます。

お客はこれと同じことを4回目、5回目と続けて行います。記録者は、箱の中のお客の答えをチェックし、和紙にお客の予想を記載します。全てのお客が回答し終わると、正しい答えを主人が記録者に教えます(答えは抹茶入れの蓋の裏に漢字で書かれています)。最も正解率の高いお客が和紙を家に持って帰る名誉を与えられます。

茶歌舞伎は室町時代の「闘茶」がベースとなり、18世紀ごろから始まりました。闘茶は通常煎茶で行われました。おうちでご家族やご友人と茶歌舞伎ゲームを楽しんではいかがでしょうか?

 

- d:matcha創業物語①~ブランド名に込めた想い~(by Misato.T)

 

d:matchaは今年で創業6年目に突入しました。創業5年のベンチャー企業の生存率は約15%とともいわれる厳しい世界をなんとか生き残ってきました。
今月からd:matchaの創業初期からの出来事について、記録していきたいと思っています。
ブランド名は、我々がどんな会社を作っていきたいかを対外的に表現する最も大切なものです。会社を創業する前のディスカッションでは、どんな会社にしたいかのコンセプト・理念に関する議論とマーケットリサーチを何か月にもわたり行いました。この議論にかなりの時間を費やしましたが、ブランドの軸がずれることなく今までやってこれているのはこのディスカッションのおかげと思っています。
この議論の中で見えてきたものは、”日本人らしさ”と”自分たちらしさ”を大切にしながら、グローバルに展開して「世界で戦える農企業」を作りたいという、と想いでした。
お茶という日本の伝統のある商材を、若者らしい自由な発想で固定概念にとらわれず、日本と世界に魅力を発信していきたいという意味です。
そこで、ブランド名は英語にすることに。ブランドの候補には「O-matcha」や「WHAT A TEA」などもありました。また、海外で抹茶の認知度が高まっていることを見据えて、抹茶matchaをブランド名に入れることに。短くシンプルで一度見て覚えられるものに。
結果、design(お茶のある暮らしを自由な発想でデザインする), delicious (おいしいお茶を提供する), diligent(日本人らしく勤勉に)という3つ「d」に意味を込めて「d:matcha」となりました。
特に「diligent」はアメリカに滞在中に様々な人種の人々と交流する中で、日本人ほど真面目で几帳面な気質の民族は特異な存在なのだと実感し、日本人としてその勤勉さをいつまでも忘れることなく、ビジネスを勤勉にコツコツ改善していきたいという想いが込められています。


(いろんなロゴマーク案もありました。ロゴが赤なのは、お茶は緑色のブランドが多いので目立ちたかったから。また、赤(朱)は日本では古来から神社などで使われる魔よけの力がある特別な色だからです)