d:matcha通信 2022年6月号
こんにちは!いつもd:matchaをご利用頂き、ありがとうございます。d:matchaニュースレターチームより畑や新開発の商品、スタッフの近況をご紹介していきます。どうぞ、ご愛読ください。
‐畑のこと (by Hiroki.A )
今年のお茶の総括
6月も終わりが近づき、自社の一番茶の収穫も終盤戦です。今年は新芽が伸張する時期に雨が少ない日が続きました。その後、雨は降ってくれましたが、同時に気温も高くなってしまい恐ろしく新芽の硬化が早い年になりました。次から次へと作業に追われ目が回る様な日々でした。
しかし、今年、和束町では大きな霜害もなく、自社の茶園ではまったく影響を見ることはなく、例年必ずと言っていいほど霜の影響を受ける畑からは、こんなに収穫できるんだ!?と今までにない収量を見ることができ、充実した一番茶シーズンを過ごすことが出来ました。普段は店舗での接客などの業務を担当するメンバーにもこの時期は収穫のお手伝いに来てもらい、皆慣れないながらも一生懸命作業に取り組んでくれて本当に助かりました。
メンバー全員が懸命に取り組んだおかげで、様々な種類の個性的なお茶を収穫することが出来ました。残すところあとわずかになりますが、残りの一番茶シーズンも有意義に過ごしたいです。
霜の影響を受けずきれいに伸びたオクミドリ
原山の収穫の際の集合写真
‐ Matcha beauty recipe (by Natsuki)
抹茶を気軽に取り入れたい!そんな思いから日頃から日常で取り入れることができる抹茶レシピを開発しています。
第一回目は製菓用に最適な抹茶を使ったレシピをご紹介♪
使用している抹茶「製菓生菓子用抹茶100g/砂糖なし一番茶使用」
【グルテンフリー もちもち米粉の抹茶パンケーキ 4枚分】
・米粉150g
・豆乳200g
・ベーキングパウダー5g
・抹茶大さじ1
・太白ごま油大さじ1
・砂糖大さじ2
・メープルシロップ
【作り方】
1.全ての材料をボールに入れてよく混ぜます。
2.材料以外の油を引いたフライパンに流します。
3.弱火で3分焼きます。
4.裏返して弱火で2分焼きます。
5.メープルシロップをかけて完成。
※抹茶なしのプレーンも作ると見た目も可愛らしくなります。
- 「美味しいお茶と芸術」“記憶の回遊”(by Ryhan)
今年の最初の収穫が終わると、私は前の年の農作業についてより深く考えます。 このような現象は美術館の壁を前にすると起こります。
農作物は、芸術的な作業と似ていて、作物ができるまでの工程に興味のあるひとにとってはより魅力的なものでしょう。 最近のお客様は、その商品の裏側を知ろうとしてくれる方が多いと思います。誰の手で、どこで育てられ、どのように作られたのか。 当然のことながら、良いものができるまでにはそれなりの時間がかかります。
あなたが農家さんなら、年間、自然界のルールに従いながら作物を育てているでしょう。自然を相手にする作業はとても労力が必要なので、時には農作業に必要な長い工程を省いて作業を簡略化することに魅力を感じる時もあると思います。また、多くの仕事を抱え、作業の細部にも目を張り巡らすことが不可能な場合もあるでしょう。しかしこれらの細かな作業は作物を育てる中では、とても重要なことなのです。農業に必要な小さな作業は、芸術で言えば、パズルのピースに似ています。農家の日々の丁寧な作業の小さなピースはやがて素晴らしい絵画になります。
今回皆さんにお伝えしたいのは、私たちが栽培するお茶は単なる「美味しい」だけではなく、名前もつかないような小さな作業の積み重ねで育てあげたものです。絵画を鑑賞する時と同じように目の前のお茶の背景も一緒に楽しんでいただけたらと思います。私たちが目指すのは、消費者の方に”感動”していただけるようなお茶を作り出すことです。
(兵庫県立美術館に展示されている「田中一好による「記憶の移り変わり」」と題された作品。)
- エキュート立川初出店(by Azusa.U)
先月に引き続き、エキュート立川に5/9〜5/29まで出店致しました。ご来店くださった方本当にありがとうございます🙇
私たちのことを全く知らない方からすると普段は京都でカフェを経営しながらスイーツも販売する抹茶スイーツ専門店と思うかもしれません。
GWまで私も京都の店舗で勤務をしていましたが、この時期お茶農家は大忙しです!!カフェの開店前には茶の収穫作業、閉店後には茶の被せ作業。この話を店舗でも催事場でもすると本当に驚かれます。
実は昨年は霜の影響がありそこまで畑の作業はなかったのですが今年はたくさん行かせてもらいました。
自分達で茶を生産するからこそこだわることができ商品に愛着が湧きます。
特に1番楽しみなのが、加工が終わった新茶の開封する時です。新茶らしい新鮮な爽やかな香りがします。試飲や店内での提供でも美味しく提供できるようどの温度でどれくらいの抽出時間が1番美味しく飲めるのだろうと自分達で研究します。同じ畑で収穫しても当然のことながら年により、味わいが全然違います。先月は煎茶の氷出しをオススメしましたが新茶シーズンの今は香りを楽しんで欲しいのでぬる湯だししてください!煎茶だと70℃程度かぶせ茶だと65℃程度がオススメです!!
今年の新茶ティラミスは5/2に収穫したやぶきたを使用しています。『今年初めて私も収穫作業に参加した茶葉を使用しています。』とお話しすると大事に食べるねと沢山のお客様に言ってくださりました。本当にありがとうございます!
お味はいかがでしたか?
6/15〜6/21は近鉄奈良百貨店、7/4〜7/18はエキュート上野でも販売しますので是非いらしてください!
- 身の回りの物で抹茶を点てる② ~いつでもどこでも気軽に抹茶を(by Seiya.H)
私は旅行に行くのが好きで、旅行先でもお茶を持参してます。抹茶に関しては旅行先で自分で点てて飲んだり、旅行先で会った人にも点てる事がよくあります。私が旅行で持参する物は、お湯の入る魔法瓶、抹茶の粉、茶筅、茶碗と茶碗を拭くための布だけです。これらでいつでもどこでも抹茶を点てる準備が整っています。
私が他人に抹茶を勧める時、『自分は作法を全く知らないけど、飲んでも良いの?』と聞かれる事が良くあります。私はそれに対しては、「全然気にしなくて大丈夫。好きなように飲んで、抹茶を味わってほしい」と必ず返してます。茶道を知らない方々からしても、抹茶を飲む為に茶碗を回す等の手順が必須と思っている方が日本では多いですが、私が抹茶を差し上げる時に飲む方へ1つだけお願いするとしたら、茶碗を両手で持って飲む事だけで、後は自由で大丈夫と伝えてます。
これは私が3年前の夏に東京へ旅行に行き、外国人が良く利用されるゲストハウスに1泊した時の話です。私はそのゲストハウスの交流部屋で、5人の外国人の方と出会いました。彼らは日本の文化に興味津々で、私が抹茶の話をすると是非飲んでみたいとの事でしたので、その場で皆様に抹茶を差し上げ始めました。1人だけ、「自分は宗教の都合で、グラスの器でしか飲食が出来ない」と言われたので、私がその場にあったコップグラスで点てたら飲むことは可能かを尋ねたところ、「それが出来るならお願いしたい」とのことだっとので、点ててみたら凄く喜んでくださりました。ちなみにその時使用した抹茶はおくみどりでした。
初めての肩でも抹茶の美味しさを知ってもらいたくて個人的に始めた活動ではありますが、コロナが落ち着いたらまたいろんな方に抹茶の世界へ案内したいと思っています。
- d-matchaのロールケーキ(by Ko)
5月から6月にかけて、d:matchaでは抹茶ロールケーキの製造を行っています。
ロールケーキを美しく巻き上げるのは大変です。上手に巻くためのコツをお教えします。
きれいな「の」字に巻くために大事なことがあります。
生地とクリームを適切な状態にすることです。
手前を高く、巻き終わりになるにつれ薄くクリームをのばします。
巻始め __◢◣________ 終わり
↑クリームの様子を横から見るとこんなイメージです。↑
巻き終わりを最も薄くしてください。
作業台の上に滑り止めを敷きます
巻くときにつるつる滑らず、巻きやすくなります。
巻き始めの生地を筋に沿って折るようにして芯を作ります。
芯に沿うように紙を奥に向かって進めながら一気に巻きます。
巻くときの紙は上に持ち上げず、常に台と平行になるように進めるのがポイントです。
最後に乾燥しないように、冷蔵庫でしっかり休ませてからカットしてください。
- お茶の香り(by Yuina)
日本のお茶の香りには覆い香といわれるものがあります。この覆い香は海苔のような香りがするといわれ、旨味の強いお茶の特徴の一つとも言えます。その中でも特にかぶせ茶や玉露が覆い香を持っています。
なぜお茶が海苔のような香りがするかというと、海苔に含まれる成分がお茶にも含まれるためです。この成分はジメチルスルフィド(DMS)と呼ばれます。特にアミノ酸濃度の高い玉露やかぶせ茶にこの成分が豊富に含まれます。さらにその理由は玉露とかぶせ茶の栽培方法の過程として被覆栽培を行うことにあります。
具体的に被覆栽培は新芽が出始めた頃にチャの木に覆いをかけて光を遮って育てることを言います。こうすることによって茶に含まれる旨味成分や甘味成分であるテアニンが渋み成分や苦味成分であるカテキンに変化するのを抑制します。その結果被覆した茶葉は非常に渋みが少なく旨味や甘味が強くなります。そして被覆をすることによってジメチルスルフィド(DMS)という成分が増加及び、蓄積することが明らかになっています。
しかし被覆栽培は元来、新芽霜による被害から守ることを目的に行われていました。また、江戸時代においては被覆栽培は宇治でしかその被覆栽培が許可されていませんでした。しかし現在では高級茶の特徴ともいえる上品な香りや旨味、甘味の強い茶を生産するために被覆栽培が行われています。
被覆栽培
- d:matcha創業物語⑨ ~和束町での店舗探し~(by Misato.T)
和束町に出店・移住を決意してからすぐに和束町で店舗探しを行いました。といっても、和束町にはすぐに借りられるような物件がいくつもあるわけではありません。
役場の職員の方や地元の方に店を開くのによい物件は無いかと相談したところ、元はスーパーだった物件で今は空き店舗になっている場所を紹介していただきました。
選択肢はほぼそのひとつだけでした。なんとか貸していただけないかとオーナーさんに交渉したのでした。それが現在d:matcha和束町本店の物件です。
この物件の利点は、元はスーパーということで、飲食店許可が得られるキッチン設備・水回りの設備があったこと、非常に敷地が広いので拡張性があったこと、和束町役場に近く道路に面していて立地が良いことでした。一方で、非常に敷地が広いので最初はその広さを持て余す懸念があったこと、店内にはスーパー時代の備品や荷物、冷蔵棚ショーケース等がたくさん残されていたこともあり、仮に借りられるとしても手直し・清掃が必要な状態でした。
まずは借りられるようにオーナーさんと交渉です。
オーナーは和束町で親子3代にわたって「うおとめ」という食料品店を経営していたおじいさんでした。地元の方にお聞きしても、頑固で有名な方で、最初は本当に緊張しました。
我々は和束町に住んだこともない新参者でしかもベンチャー企業です。オーナーさんが1回の交渉でOKを出すはずはありません。まずはご挨拶から、4~5回に分けてお話をじっくりする中で(1回あたり3時間くらい!)、信頼していただけたのか、やっと店舗を借りられることになりました。
オーナーさんは若いころに和束の洪水でご両親を亡くされたあと家業を任されて非常に苦労されたそうです。バブルの良き時代からその後のビジネス縮小期も経験し、自分の頭で責任をもって考え判断してきた立派な商売人でいらっしゃいました。じっくり話を聞く中で、和束で商売を始める我々にとって、参考になる情報、考え方、心の持ち方など、貴重なお話を聞くことができました。
我々の熱意や、若いながらにも過去に我々が大学や職場で得てきた知識・経験から判断して、我々の商売がうまくいくかもしれないと可能性を感じていただくことが出来たのだと思います。
和束町での出店が決まったのが2017年3月頭。春の新茶時期に間に合わせるために、なんと2017年4月下旬という急なオープンスケジュールになったのでした。
借りる前のスーパーうおとめの様子。視認性が良いようにということか、カラフルな外観でした。
スーパーだったので、横には自転車用の駐車場もありました↑。d:matchaでは不要だったので後で撤去しましたが。