d:matcha通信 2022年3月号
こんにちは!いつもd:matchaをご利用頂き、ありがとうございます。d:matchaニュースレターチームより畑や新開発の商品、スタッフの近況をご紹介していきます。どうぞ、ご愛読ください。
‐畑のこと (by Hiroki.A )
新植と改植について
新植と改植はどちらも茶畑を作るために茶の苗を植えることに違いはありませんが、前者はもともと林や荒野または他の作物の圃場を新たに整備し新しく茶の苗を植え付け茶畑に作り変えることを言います、後者はもともと茶畑であった土地を一度さら地に戻し新しく茶の苗を植え付けることです。
新植は新規の茶畑を作り出すので茶畑の面積の増加とそれに伴う増収を目的としたものとイメージいただけるかと思います。一方で改植は老化した茶の木の更新と新しい優良品種の導入を目的としています。
茶園の寿命は管理や土壌条件にもよりますが、一般的に経済樹齢(経済的な収量が見込める樹齢)は40年ほどと言われています。もちろん中にはそれ以上の樹齢を誇る茶園も存在し中には80年以上改植が行われていない茶園もあります。茶園は苗を植え付けてから収穫できるようになるまで5年程かかり、この5年間は管理のコストはかかるものの収益は出ない空白の投資期間となります。樹齢10年 前後の茶園で最も良い茶が収穫されると言われています。このピークを過ぎると徐々に収量、品質共い落ちてゆき最終的には茶園が育つ5年の投資期間をはさんでも改植すべきと経済的な判断により改植が行われます。また、改植する際には植え付ける苗の選択を行うことができます。茶の品種は想像するよりも多く存在していて、耐病性や耐寒性、匂いや味、更にはどの様な茶種に適しているかなど様々な特徴を持っています。また市場の嗜好性も常に変動していて、茶種やその味わいなども時代とともに変わっていきます。経営者は収穫が可能になる5年後を見越して植え付ける苗を選択しないといけません。
‐ 抹茶チョコ商品シリーズ拡大中 (by Natsuki)
d:matchaのチョコ商品はもう手にとっていただけましたでしょうか?
製造チームは毎年新しい抹茶チョコ商品の開発にチャレンジしています。
初年度は「濃度別抹茶食べ比べチョコ」のみの販売でしたが、次の年には日本茶別食べ比べチョコ、品種別食べ比べチョコ、さらに抹茶チーズケーキにチョコを入れ込んだマーブル抹茶チョコチーズケーキ、今年は濃厚抹茶のフォンダンショコラの商品も完成いたしました!
しかし、まだまだdmatchaの抹茶チョコスイーツの展開は終わりません。現在は抹茶板チョコ、海外オンラインサイト限定販売のゆず抹茶チョコピールを開発中です。板チョコ製造の苦労しているところは気泡が出ないように綺麗に形に流し込むところ。そしてチョコレートが固まった後も傷がつかないように型から慎重に取り出すことも神経を使います。新商品の初回製造時に課題に上がった箇所もフィードバックしながら次の製造にはより良いものを生み出せるように改善を図っています。
今年のdmatchaのチョコ商品のラインナップをぜひお試しください♪
- 岡倉覚三先生のお茶の本(by Ryhan)
大人になっていくにつれて、私にとってお茶は自分の人生に欠かせないものになっていきました。-どんなシチュエーションでも私のそばにはお茶があります。もし食事にお茶が出てこなかったら、それは私にとって不完全な食事です。私がそんなお茶の魅力に取り憑かれてしまったのは、大学時代の頃でした。
20歳のときに大学のためにシンガポールからメルボルンに引っ越しました。私が家族と離れて長期間住んでいたのはこれが初めてでした。アジアの感覚を忘れないために、岡倉覚三先生の「茶の本」と、仏教のことわざのコレクション「法句経」の2冊を購入したことをはっきりと覚えています。
岡倉先生の「茶の本」は、茶道と日本文化を結びつける糸を詳細に論じたお茶の名作として古くから知られています。個人的には、岡倉先生が伝えようとしている最も重要なメッセージ があります。
”一緒にお茶をする行為、それはその人たちの立場や階級を超越することだと感じています。言い換えれば、テーブルに座っている人は皆等しいということ。”
同時に、岡倉先生の文章は繊細でとてもシンプルなことを私たちに伝えています: 「お茶をするその時間は、儚い美しさを楽しむだけです。」私たちが経験してきた激動の時代を考えると、両方のメッセージは同じ重みを持ち、大切な心に気づかせてくれる言葉です。
- 常滑焼急須の魅力(by Azusa.U)
d;matchaで煎茶を淹れる時は常滑焼で
作られた急須を使います。
その常滑焼について今回はお話ししたいと思います。
常滑焼で作られた急須は、全国シェアが9割を超えています。
常滑急須は愛知県常滑市で作られており国の重要無形文化財にも認定されている他、1998年には常滑急須の名工山田常山は人間国宝に認定されました。
常滑急須の原料は水田の底から掘り出した土が使われています。田土には酸化鉄が多く含まれています。その酸化鉄は焼いた時赤く発色します。この現象を朱泥(しゅでい)と呼びます。
また常滑急須は酸化鉄を豊富に含むためお茶の渋味、苦味成分を吸着しまろやかな味になります。それは、お茶に含まれるカテキン類は官能基を持っているからです。そのため、鉄などの金属と結合しやすいです。それがお茶の味がまろやかになることと影響しています。
また他にも全国シェアが高いことに関連する魅力があります。
それは蓋と本体がぴったりと重なる『窯合わせ』の技術が日本全国の生産地の中でも特に優れていると言われています。
日本茶をおいしく淹れるためには茶葉の蒸らしやお湯の温度を適温に保つことがとても重要である為、茶器も重要な要素です。
またその伝統は約200年にわたり受け継がれてきました。
今ではシンプルな急須から可愛い柄が描かれた急須も並んでいます。自分好みの急須を見つけるのも楽しいと思います!
次回も常滑焼の魅力について書くのでお楽しみに!!
- お茶会の主役 濃茶③ 無言で飲む濃茶と茶道具(by Seiya.H)
ここ2ヶ月は濃茶に関する記事を書かせていただきましたが、今回はその濃茶の点前の瞬間、雰囲気について書かせていただきます。
お茶事という日本の伝統的な茶会の主役となるのが濃茶です。お茶事に招かれたお客様方は午前中に懐石を召し上がった後、中立ちと言って、お客様は一旦茶室の外へ出ます。
その間に亭主は茶室の準備にとりかかります。
茶室内は準備が終わったころにはお点前で使用される道具が並べられます。
亭主はその後銅鑼を鳴らしてお客様に準備が出来た事を伝えると、お客様は自然と茶室に戻ってきます。銅鑼が鳴ると、暗黙のルールで、亭主もお客様も茶室に入ったら無言になります。
お客様が茶室に戻り座ると、亭主が茶碗を持って茶室に入り、襖を閉めます。この時、茶室は窓はあるのですが簾がかかっているのもあり、わずかな日差ししか入らないため、薄暗い部屋です。薄暗く沈黙の中で亭主は濃茶を作る準備をして、お客様はそれを見届けます。
点前を始めて20〜30分は道具を清める動作を行います。何故道具を清めるかというと、亭主自らがお客様の目の前で自分が持ってきた道具が決して汚れておらず、清潔な状態でお届けするのでご安心くださいという意味もこめると同時に、自らの心を清める意味もこめています。
道具を清め終わり、ようやく抹茶を茶碗の 中に入れ、濃茶を練ります。1人目のお客様が濃茶を一口飲んだところでようやく亭主から「御福加減はいかがですか」との質問により沈黙が破られます。
点前の後半の流れとしては、問答と言って、お客様が亭主に本日使用されている茶道具について質問をします。 道具でなぜ問答かと思われる方もいらっしゃると思いますが、茶道具というのは大抵亭主が自らこの日の為に、特定のお客様の為にと選
ぶ事もあり、お客様は今日限りの道具との出会いを大切にし、忘れないように、茶事では各道具を拝見する時間があります。茶道には一期一会という言葉があり、人と人だけではなく、人と道具の一生に一度しかない出会いも大切にするようにという教えがあります。
今では大抵の和室にも照明があり、明るい状態で亭主とお客様が御歓談されながらお茶を飲むのが多くなっていますが、少人数で和室の照明を消して薄暗い静かな状態で、美味しい濃茶を飲むのは全く違う楽しい景色が見れると思います。
私自身も照明の無い茶室で濃茶を練ったり飲んだりした時の記憶が今でもはっきりと残っています。
京都市の和室にて、お客様に私が濃茶を差し上げるシーンです
- d:matcha創業物語⑥~嵐山創業期:まずはオンラインショップから~(by Misato.T)
嵐山で創業したd:matchaですが、最初はオンラインショップの立ち上げから行いました。
創業期はとにかく売上を得ることに苦労します。まずは和束の煎茶・抹茶から販売をスタートし、少しでも売り上げを立てたいと考えました。
お茶の新商品を開発しようということで、この時期に生まれたのがドライにした果物や野菜をブレンドするブレンドティーでした。お茶に何かを混ぜるという発想は社長が海外留学時に得たものです。ベンチマークにしていたDAVIDSs TEAなどのブランドは積極的にブレンドしたお茶を販売していました。
こうしてメンバーの知り合いが生産する生姜や、私の実家である愛媛県で栽培されたレモンやみかんの皮をブレンドしたブレンドティーが誕生したのでした。
会社であるアパートの一室は茶入れ部屋になり、そこで茶入れとシーラーをしながら商品を発送していきました。その時の写真です。発送内容を写真で撮って遠隔でダブルチェックしてもらっていました。当初のパッケージは相当シンプルなものでした。
また、ブレンドティーのように既存概念にとらわれない自由な発想で商品開発をしていきたい、というブランドの想いを込めて、ブランドのイメージ写真を撮影しました。
知り合いのベンチャー企業のオフィスを借りて、プロのカメラマンにお願いして撮影したのがこちらの写真です。
たくさんの食材とお茶が交じり合い、素材のフレッシュ感や食の楽しさが詰まっています。現在もd:matchaのshop cardにこの写真を使用しています。私にとっては思い出深い写真です。