こんにちは!いつもd:matchaをご利用頂き、ありがとうございます。d:matchaニュースレターチームより畑や新開発の商品、スタッフの近況をご紹介していきます。どうぞ、ご愛読ください。

 

- 和束町で、農薬不使用の稲作 (by Daiki T)

 

D-matchaでは、2021年より弊社管理の丁度中間にあった田んぼの耕作を始めました。

米は日本の主食。日本の食文化とは切っても切り離せない食材です。特に私は、玄米が大好きです。玄米は米ぬかの部分も食べるので、栄養価が高く、そして糖質の吸収が白米に比べて緩やかな低GI食材でもあります。ですので、お店で提供する面も玄米抹茶麺と玄米煎茶パスタに変更しました。ただ、玄米は外側まで全て食べる分、やはり農薬は不使用で作りたくて、元々の農家さんの反対(「絶対、大変やで」)を押し切って農薬不使用での栽培を行っています。

 しかし、お茶以上に雑草の処理がこんなに大変になるとは想定外でした。ヒエが凄い勢いで生えてきます。我々の田んぼのサイズも3反(過去の農家さんの収量だと600kg)ほどあるのですが、10~20%くらいの面積は、ヒエに稲が負けて倒れてしまっています。8月は雨が本当に多く、時間を見つけては早朝からヒエを鎌で切って除草する作業に終われています。ただ、稲穂が実り、田んぼ独特の香を楽しめたり、赤とんぼが飛んでいるのは本当に癒されます。 

 和束町の美味しい水と空気、そして豊かな土壌で育った米を食べるのが本当に楽しみですし、玄米甘酒や玄米粉を使用したクッキーなど、日本を代表する食材である「米」とくに「玄米」をたくさん使用した身体に優しい商品をたくさん作っていこうと考えています。

 

 

畑のこと (by Hiroki.A )

実生苗の優位性

 実生苗とは種から育った植物で、挿し木苗と対義の関係にある言葉です。チャノキにおいて種子繁殖が可能なため当然存在していて、茶産地では特に多く自生していることがあります。これらは、現在の茶業においては積極的に用いられることは少なく、昔から存在している茶園の一部でしか見ることは出来ません。とゆうのも、実生苗は各個体が異なる遺伝型を持っているので、多様な個性が存在しています。摘採のタイミングの一括化が収穫機により進んだ現代の茶業において、異なる摘採タイミングを持つ実生苗は合理的とは言えないからです。

しかし、実生苗は挿し木苗にはない明確な優位性があります。それは、主根です。主根とは種子が発芽する際に一番最初に生えてくる根です。この根はまっすぐと真下に伸び、太くそして長く成長することができます。当然ながらその根域を拡張し、地中深くの水分やミネラルにアプローチをかけることができます。一方で挿し木苗の根の派生は不定根由来なのでその様な特性は持っていません。在来の茶園は日照りなどに強いと言われていることも、形態学的な見地からもうなづけます。

木本性植物はその生活環の周期が長く、遺伝子の固定化が困難で、栄養繁殖が可能なものが多いため、固定品種の作出は行われることはありません。チャノキも同様で、挿し木で増やしたクローンを品種として扱っています。これらが育種や人工種子(杯培養により人工的に種子化したもの)などの技術の発展により、品種が実生として扱うことができるようになれば、さらにおいしいお茶が楽しめるようになるかもしれません。

  

 

 

今よりもっとお茶が好きになる!茶農家が案内するお茶畑&煎茶抹茶飲み比べツアー (by Natsuki)

dmatchaの商品をお買い求めいただいたお客様、あなたはきっと相当なお茶好きさんでしょう。そんなお茶好きの方にこそぜひ参加していただきたいのが、この私たち茶農家が案内する茶摘み&煎茶抹茶飲み比べツアーです。宇治茶の4割が生産されるお茶の産地”和束町”。その和束町茶の生産、菓子の製造をしています。今回お買い求めいただいたお茶スイーツや抹茶がどの畑で育てられたものなのか、煎茶の抹茶の違いは?玉露ってなんだろう?なぜ和束町が宇治茶の主産地なのか、品種による味わいの違いや、美味しい抹茶の点て方など、私たちがお茶農家だからこそお伝えできる”日本茶”を満喫できるツアーをほぼ毎日開催しています。この記事を書いている私も実は最初はd:matchaのお茶摘みツアーの参加者でした。和束町の魅力に惚れ込んで、日本茶が一生ものの仕事になりました。

京都駅から電車、バスを乗り継いで1時間半。あたり一面お茶畑に囲まれたこの和束町には、足を運んでいただく価値があります。もし興味を持たれたら、オンラインショップの体験ページからご予約ください。少人数での体験も可能ですので、お気軽にメッセージもお待ちしております!

【茶畑ツアー1日プラン例】

9:30和束町弊社カフェに集合 

10:00弊社茶畑にご案内。栽培方法、日本茶の概要、和束町の茶畑の特徴についてご説明。

10:30 茶摘み体験。

11:00 煎茶工場見学。

11:30 カフェに戻り、お茶のランチ。自家製麺の玄米煎茶ジェノベーゼパスタが人気。

12:00 煎茶・抹茶各3種飲み比べ体験。

茶摘みの茶葉を天ぷらにしてお召し上がり。

12:30体験終了

 

 

- ほうじ茶の魅力(by Chisei.T)

     

 ほうじ茶は広義では緑茶を高温で褐色になるまで焙煎したお茶を指すのですが、ほうじ茶に使われる茶葉は主にそもそもカフェインやカテキンが少ない硬い茶葉を使われることが多いです。

それをさらに高熱で焙じることで苦味成分のカフェインが昇華しカテキンを壊すことにより、味はあっさりし渋味や苦味が控えめでカフェインやカテキンが少ないので子どもやお年寄りや夜眠りづらい方、病人まで万人におススメのお茶です。

また、ほうじ茶にはピラジンというリラックス効果を有する芳香成分を有するのでほうじ茶の香りは科学的にも癒しをもたらしてくれるのです。

このほうじ茶の原料は一番茶と二番茶の間に収獲される古葉と遅れ芽(一番茶の収穫後に出てきた芽)を使用すると最も味が濃く美味しいのですが、実はその時期は二番茶の準備と重なりとても作業に追われ、ほうじ茶の原料を収穫しない農家も増えてきています。

ほうじ茶の原料は、一番茶を被覆して栽培したものよりも太陽をサンサンと浴びたお茶のほうが、香りも味も優れたほうじ茶の原料になります。近年の抹茶ブームにより露地(0日被覆)栽培のお茶が減少していることは、結果として美味しいほうじ茶の原料の減産を後押ししてしまっています。
dmatchaでは、忙しい一番茶と二番茶の時期を縫って収穫し、焙じ茶の原料を確保しています。兼ねてより和束のほうじ茶は香り高いと言われています。是非、和束の香り高いほうじ茶をお楽しみください。

また、ほうじ茶はお家で作ることもできます。古くなったお茶などを焙烙という道具で炒ることにより炒りたてのお茶をいつでも楽しむことができます。家の中がほうじ茶の香りに包まれ幸せな気分が味わえますので是非やってみてください。

 

- アニメから農業のことを学びました(by Ryhan)

日本に来てからよく、「どうやって日本語を学んだの」と聞かれます。日本に住んでいることで学んだことが多いですが、それ以外からも学んだきっかけがあります。

音楽と文学から学んだこともそうですが、特に私は日本のアニメを通して日本語を習得しました。 特に実生活の場面が描かれているアニメは、主人公の試練や苦難は私も共感できる部分があったり、日本の文化についても話の中に詰め込まれているのも勉強になりました。

私の好きな数ある農業関連のアニメの中で荒川弘先生の「銀の匙」という農業高校に通う男子学生を主人公にした話の作品があります。進路が決まっていない主人公が前向きに自分の可能性を探す姿に勇気づけられる作品です。この作品に触れると酪農についても理解を深めることができたりと、私も共感させれられる場面がありましたし、日本の農業についても学ぶことができました。

「銀の匙」は酪農についてのアニメですが、いつか茶農家のアニメがあると世界中にももっとお茶農家のことがわかってもらえると思います。それをd:matchaが制作するか、もしくは、新規お茶農家のd:matchaについて描いてもらえる日が来るといいと願っています!



 

-スーパーフードとして注目された抹茶(by Azusa.U)

 

最近,スーパーフードという言葉を耳にします。スーパーフードとはその食材の栄養バランスが優れており,食品とサプリメントの中間的な食材として位置づけられるものです。

その一つに抹茶もスーパーフードの一つとして世界でも注目されています。

なぜだと思いますか?

ここで抹茶の効果について3つお話ししたいと思います。

1つ目は、抗酸化作用の強いカテキンが豊富に含まれています。抗酸化作用には体内の細胞の老化に繋がる活性酸素を抑制し,がん予防にも効果があることが知られています。

茶葉には,たくさんのビタミンや食物繊維などが豊富に含まれています。

2つ目は美肌効果やダイエット効果をもたらしてくれます。抹茶に含まれるビタミンCはカテキンと協働してシミやそばかすの原因であるメラニン色素の生成を抑えてくれます。また,抹茶にはカテキンやカフェインも豊富に含まれており,糖質や脂肪の吸収を抑えてくれる働きがあることが知られています。カフェインにはリパーゼという脂肪の分解を促進する酵素の働きを活性化してくれます。酵素により分解された脂肪がエネルギーとして消費されるためダイエットにも効果があると言われています。

3つ目は上記の健康効果に加えて、リラックス効果が得られることです。抹茶には,アミノ酸の一種であるテアニンが豊富に含まれています。テアニンとは旨味成分の一種でお茶の旨味や甘味を引き出してくれます。テアニンが引き出してくれるリラックス効果がストレスによる心拍数や血圧の上昇を抑える効果や睡眠の質や集中力を向上させてくれる効果があります。

 さらに抹茶はこれらの豊富な健康成分を丸ごと摂取することができる点が他の煎茶などのお茶と比べて優れています。抹茶は碾茶という茶葉を乾燥させたものを茶臼で挽いて粉末にするので,お茶の成分を余すことなく摂取できます。

 また、抹茶の利用方法は飲む以外にも料理やスイーツなど幅広いことが、抹茶の世界的な普及につながっているといえます。

写真は今年5月に碾茶(抹茶の原料)を収穫した時のものです。

 

夏に飲む抹茶(by Seiya.H)

 

「夏は涼しく、冬は暖かに」これは戦国時代の茶人、千利休の教えの1つです。冬に温かい部屋にて暖かい抹茶を出すというのはやりやすいかもしれませんが、逆に夏に涼しくというのは、冷たいお茶を出すのかと思う方もいらっしゃるかと思います。茶道の世界では夏でも釜のお湯を使用して抹茶を一服差し上げます。同じ抹茶でも、茶道では茶道用の道具、すなわち茶道具を使って、お客様に涼しい気分を茶室内で味わって頂くことが可能です。

まず、茶室では襖が使用されるのが普通ですが、夏の時は簀戸(すど)といって、細かい竹を粗く編んで作った枝折戸を使用し、竹と竹の間の隙間や隙間風が涼しさを増し、釜の湯の熱を逃がしてくれます。茶室の中には基本的に軸がかざられており、軸には禅語または漢字1文字が書かれている事が多いです。「滝」のように水をイメージする軸は軸を見る人に涼しい気分を与えることが可能です。


抹茶椀も夏用がいろいろとあり、代表的なのは平茶碗と言って、お皿の少し盛り上げた形に近いものが良く使用され、普通の抹茶椀に比べて温度が下がりやすいです。その他の道具もガラスで作る事で透けたイメージを見せたり、団扇、スイカのような夏の風物を描いたまたはその形をした茶道具も今では人気です。

和菓子も冬は暖かい饅頭やぜんざいが出される事が多いですが、夏には葛を利用した水まんじゅうを使い、中のあんこの上に小さく黄色の練り切りを添えることで、まるで蛍が飛んでるように見えます。



このように、氷を一切使わなくても、茶道に携わる方々は400年間創意工夫して、夏に涼しい想いをしながら抹茶を楽しんでいただく楽しみがございます。

皆様も是非、抹茶を夏に飲まれる際は、夏の茶碗でお楽しみいただけたらなと思います。
ちなみに私のお気に入りはガラスで出来た平茶碗です。

 

- 新規就農とお茶③(by Misato.T)

 

新規就農者から見た茶経営の難しさや課題・第3回目は、小売りについて考えていきたいと思います。
和束町の茶の新規就農者は、例外なく、自分たちの茶を自ら一般消費者に販売する「小売り」に力を入れています。それはなぜかご存じでしょうか?

従来の茶農家は、収穫した茶を市場に出荷するか、一部は茶問屋に直接販売する相対取引を行っていて、小売りを行っている例は稀です。
新規就農者は茶の品質や取引について信用がないので、相対取引は不可能です。そうすると、市場出荷するか、自ら消費者に販売するかしか選択肢はありません。
市場出荷する際に問題となるのが、新茶の収穫時期です。実は新茶市場は、出荷時期が早ければ早いほど高値がつき、いかに品質が良い茶でも出荷時期が遅くなるほど安値がつく傾向があります。以前にもお話しした通り、新規就農者にはろくな茶畑が手に入りません。つまり、高値が付く摘採期の早い畑ではなく、安値がつきがちな摘採期の遅い畑ばかりのケースが多いのです。そうなると、市場出荷だけでは収支が合わないのです。
実はこういった事情があって、新規就農者は茶の小売りに力を入れているのです。
茶農家の収入は、一般的に(茶の販売価格)×(茶の収量)で決まります。自分で茶を小売りすることは、自分で茶の価格の決定権を持つことであり、経営の自由度が圧倒的に増します。ただ、自分で袋詰めして商品を完成させて、自分でお客様を獲得することは、茶の栽培技術とは全く異なるノウハウが必要で、相当に努力と工夫がなければできません。

d:matchaでは茶の購入につながるように積極的にお茶の試飲や飲み比べ体験を行っています。(写真はd:matchaのお茶パッケージとお茶のテイスティングの様子)


ただ、新規就農者は皆、自分で作った茶を自分たちで売ることを楽しで行っているように思います。直接お客様の声が聞けるのは、作り手として楽しくて、やりがいに溢れています。

 

 

代表取締役 田中大貴