こんにちは!いつもd:matchaをご利用頂き、ありがとうございます。d:matchaニュースレターチームより畑や新開発の商品、スタッフの近況をご紹介していきます。どうぞ、ご愛読ください。

‐ 畑のこと (by Hiroki.A )

 お茶の歩留り  お茶が加工される工程を簡単に形容すると乾燥させる行為です。 煎茶や碾茶 (抹茶の原料) の種類にかかわらず、 収穫された生 葉は茶工場に運ばれ蒸し器で速やかに殺青されます (高温処理 することで茶の発酵酵素を不活化する)。 その後工程は異なります が、 最終的には水分含量が5%以下になるまで乾燥させます。 この生葉から乾茶の重量の減少率を歩留りといい、 100 ㎏の生葉を加工し 19 ㎏の乾 茶ができるとその歩留りは 19%なります。 お茶の種類や品質によってやや異なりますが 約 20%程が一般的とされています。 この歩留りは組織の繊維質の量と正の相関性が あり、 歩留りが低い方が品質の高いお茶だと言われています。 成熟が進んでいない若 い茶葉であるほど歩留りは低く、 逆にほうじ茶などに用いられる番茶などでは 25%を越 えることもあります。

被覆の有無によっても歩留りは異なり、 被覆が行われると歩留りが 低くなる傾向にあり、 強遮光が行われた玉露などでは 15%を下回る場合もあります。 茶農家は収益性も重視しなければいけないので畑の単収を考えないといけません、 そ の際に、 歩留りの大きさをポジティブに捉えるかネガティブに捉えるかは農家さんの経 営方針に大きく依存しているかもしれません。


 

‐ 商品開発部が頭を抱えた、 「宇治抹茶キャラメルアーモンドタルト」 誕生秘話 (by Natsuki)

 毎月新商品を開発している d:matcha ですが、 0 を 1 にする商品を生み出す までには本当に苦悩の連続です。

今回は、” 抹茶好きが秋冬に食べたくなる 抹茶チーズケーキ” をコンセプトに商品の開発に取り組みました。 抹茶 × キャ ラメルアーモンドの組み合わせで、 早速試作開始。 第一回製造。 既存の抹茶チーズケーキの上にキャラメルと焦がしナッツを絡め たもの。 見た目が茶色い ・ ・ ・ 。 味はキャラメルの味の強さに我々の抹茶が 負けてしまっていました。 抹茶とキャラメルの相性は悪いみたいだから違う組 み合わせにしようかと悩みましたが再度チャレンジ。

第二回製造時。 キャラメルナッツの部分にほうじ茶を加え、 抹茶と二段構造に するというもの。 ほうじ茶とキャラメルの相性がよく、 第一回目を超える美味し さでこれは抹茶好きもほうじ茶好きも両方気に入って頂ける良い商品なのでは ないか。 さぁこれで行こう!と決定しそうでしたが、 ここで討論が勃発。 「確か にこれは美味しい。 けど私たちがご提供したいのはあくまで” 抹茶好きのため のチーズケーキ” なのではないか。」 ここでほうじ茶に助けをもらって抹茶だけではうまく行かなかったのかと妥協してしまうのか。 自分たちの開発力なら もっと上を目指せるはずだと思い直し再びチャレンジします。

そして、 最後に完成したのが、 キャラメルの常識を覆した 「焼き抹茶キャラ メル」 の開発です。通常砂糖や乳成分などで焦がして作るキャラメルです が、 抹茶を入れると抹茶の味わいや色味が出なくなります。 そこで焼き加 減を調整し、 抹茶を生かしたのが” 焼き抹茶キャラメル” です。 そのキャ ラメルの下にはアーモンドをたっぷり使用した抹茶ダマンド生地を敷き詰め ています。 ( チーズを使用するのやめ、 キャラメルと抹茶の味わいが生か せる生地にしました。 ) 抹茶の鮮やかな緑色も妥協せず、 何度も材料設計を見直し た結果、 本当に届けたい商品が出来上がりました。 そんな 商品までのストーリーを想像していただきながら 「宇治抹茶 キャラメルアーモンドタルト」 をご賞味ください。

 

 - 茶と柿の意外な関係 (by Chisei)

  和束町の茶園では時々、 柿の樹が茶園の真ん中に存在します。 茶園に乗った 落ち葉はお茶の収穫前までに手作業で拾わなければならなく、 樹自体も肥料やり などの作業で邪魔になることがあるので切ろうと思っていました。

そんなあるとき、 柿の樹が茶園にある理由を調べていると、 柿の樹は霜よけだけではなく、 戦前は 柿渋を売るために植え、 地元の渋屋に売って副収入を得ていたということを知りま した。 またその柿渋は製茶用具などを補強するのにに使われていたそうです。

渋 液は空気に触れると成分のタンニンが酸化し、 硬化する性質があり、 紙や板など に塗ると表面に被膜を作って防湿や防腐効果をもたらします。 戦後は化学塗料の 普及で今では和束町に数軒あった製造元が 1 軒だけになってしまいました。

渋柿は塗料だけでなく、 乾燥させると風味と甘さを兼ね備えた和菓子のような干 し柿になります。 猿が多く甘柿を育てられない和束町ならではの工夫です。 また、 その皮は漬け物などと漬けると美味しいそうです。 和束の和束のおじいちゃんおばあちゃんは 「昔は今みたいに 何でも手に入ったわけじゃなかったから」 と言っていたことが 今でもとても印象的でした。 そんな話を聞き、 茶園にある柿の樹は結局切らずに残すこと にしました。

 

 

- Tea with the family(by Ryhan)

 ある日、 世界の茶市場について調べていると、 素敵な詩に出会いました。 Shao Qian 氏の、 “Strong Tea or Father” を紹介します。 元々は中国語 で書かれている詩を英訳したものです。

以下日本語訳。

“私はお腹をすかせながら家路につく。 それは本当に空腹なのか、 それともただホームシックになっているのか。 家に帰ったら、 私は父さんとお茶をしたい。 いつも通り父さんが淹れる濃いお茶を飲むだろう。ただ今は、 湯呑みの中の渦は私を混乱させている。

私はまだ5歳のままなのか、 それとも 25 歳 ? 父さんは歳をとったのか。 私は成長しているのか。 父さんは寡黙なタイプの人で、 じっと自身の時間を過ごしているタイプだった。 昔はよくタバコを吸っていて , 子供の頃の私は、 父さんの料理の腕が上がらないことを冗談で言いながら、 夕食時には陽気にいようと勤めていた。 それは、 父さんが淹れる濃いお茶に対する私の抵抗だったりした。

父さんが淹れる苦くて濃いお茶が子供の私の味覚を刺激した。 ここ最近の私は自分自身の時間を過ごすようになっているが、 まだ自分を見つけられて いない。 父さんがしていたようにどう自分を許し、 または、 自分自身を見つめることであの時の 父さんを理解することを。”

この詩は詩人の故郷に戻る家路の間に父とお茶をした時の彼の感情を語っています。

父親とお茶の時間を過ごした幼かった時はすぎ、 彼の考えは成熟し大人になりました。 ただ、 父親と” お茶をする” という小さな儀式はその当時のままです。 この詩の中で私は” お茶をする” というアジア共通の習慣に 魅了されました。 冬に近づくにつれて寂しさが増してきたということもありますが、 詩人の心情がわかります。

私もまた、 家族とお茶ができる日を 心待ちにしています。 皆さんも家族で過ごす温かいお茶の時間を 大切にしてください。

 

- 寒い日にオススメのお茶(by Azusa.U)

 今週になって和束町も急に冷え込んできました。 寒い日には体を温めてくれる飲 み物が欲しくなります。

食材でも体を冷やすもの温める物があるのと同様にお茶にも体を冷やしてくれる お茶 ( 冷性 ) の温めるお茶 ( 温性 ) があります。 冷性のお茶の代表例は緑茶です。 茶葉が発酵する前に加工した緑茶は体を冷ま して夏バテを改善し利尿作用や気持ちを鎮める効果があると言われております。 そして温性のお茶の代表例は紅茶です。 紅茶は涼性の茶葉を完全に発酵させる ことで温性に変わると言われるため、 体を温めてくれる効果があります。

またその 作用を最大限に発揮するにはスパイスを入れるのもオススメです。 スパイスの中でもオススメなのが私たちの商品のチャイ用和紅茶にも使用してい る 『シナモン、 カルダモン、 クローブ』 です。 この 3 つのスパイスには身体の 内部から温めてくれる、 血流を良くしてくれる効果があります。 体内の血流が良 くなることで冷えが原因である肩こりや関節痛の改善にもつながり酸素や栄養が 細胞の隅々まで行き届くので目のクマの改善や肌のシワやくすみにも効果がある と言われます。 また、 カルダモンに含まれる 「1,8- シネオール」 には免疫を活性 化させる効果もあると言われています。 他にもスパイスではないですがはちみつと合わせるのもオススメです。 はちみつ にはビタミン、 ミネラル、 アミノ酸、 酵素、 ポリフェノールなど 150 種類以上の 成分がバランスよく含まれている為、 体を潤す作用や消化吸収力を高めてくれま す。

寒くなると空気が乾燥し風邪も引きやすいですがお茶を飲んで 免疫を高めるのもいいかもしれません。

 

 - 炉開きという名の2ヶ月早いお正月(by Seiya.H)

 茶道は大きく分けて2種類の季節があります。

1 つ目は風炉 (ふろ) と言い5 月から10月まで。

もう1つは炉 (ろ) と言い、 11月から4月までの間に行われ ます。

本日は11月1日炉の最初の日。 別名炉開き (ろびらき) について話さ せて頂きます。 炉というのは、 茶室の真ん中に縦横およそ40㎝の穴があり、 そこに炉という 名の直方体の囲炉裏を入れ、 中に灰を入れたものです。 その囲炉裏の中に 釜を入れます。 畳も炉の季節限定で、 隅っこに縦横40cm 程切られた物があ ります。 なぜわざわざ茶室の畳に穴をあけてそこに釜を入れるかというと、 風炉の季節 は釜の位置が部屋の一番端っこにあるのに比べて、 炉の季節は熱い釜をなる べくお客様の近くに寄せて、 寒い季節でもなるべく温かく感じるように工夫して いるからです。

11月1日、 炉の初日は炉開きと呼んで、 茶道をする人たちにとっては、 お正月 のような位置づけに当たります。 風炉でしか使わない畳もありますし、 茶道具 も炉の季節でしか見れないものがたくさんあります。 釜と 柄杓は風炉の季節に 比べて一回り大きく、 茶碗の一種として、 湯呑みの一回り大きい筒茶碗 (つ つちゃわん)。 釜の湯を沸かす為に使われる炭も、 風炉の季節用に比べると、 炉の炭は2倍の大きさになります。 炉開きと同時に口切と言い、 茶壷というツ ボの中に春に収穫した碾茶が入っていて、 その茶壷を開けて碾茶を石臼でひ き、 今年採れた抹茶を初めて飲むという事もあり、 炉開きは元旦扱いになりま す。

風炉の始まりである、 5月1日は特にこれといった始まりの行事はないの ですが、 炉の始まりの11月1日は、 亭主の茶室へ招かれ、 和菓子の代 わりにお善哉が出される事があります。 その後亭主がお客様に抹茶を楽 しむことができます。

戦国時代から存在する茶道の世界。 真冬の茶室は冷え 込みが激しく、 釜の湯を近づけることで暖をとる等、 昔の方々は 『冬は暖かく』 をどう行っているかが非常 に興味深いです。

 

- d:matcha 創業物語②~ボストンと抹茶~(by Misato.T)

 d:matcha を創業する前、 代表 (=主人) と私はボストンに 1 年ほど滞在して いました。 そこでの経験が d:matcha のビジネスに大きく役立っています。

今回は、 ボス トンと抹茶についてお話します。 私が始めて茶道教室に通ったのは、 日本ではなく実はボストンでした。 裏千家 ボストン支部があり、 その先生たちが日本人だけでなく外国人も含めて茶道を 教えてくれています。 道具も作法も日本と変わりません。 ボストン子供博物館の 中にある和室がお稽古場です。 そこはアメリカなのに別世界に迷い込んだような 不思議な空間でした。 教室に通う中で印象的だったのは、 外国人の生徒さん達の熱心なお稽古ぶりで す。 ボストンにはハーバード大学やボストン大学や MIT など、 世界トップクラス の大学が数多くあり、 中にはそういった名門校に通う優秀な生徒さんもいました。

抹茶 ・ 茶道にハマる方は 「知的な方が多い」 というのが私の実体験とし て心に残りました。 教室に通い始めたころの失敗談ですが、 「外国人の方々に茶道の繊細な 文化がわかるのでしょうか?」 という大変失礼な質問を茶道教室でしまし た。 先生は 「外国人 ・ 日本人は関係ないのです。 日本人でも茶道の魅 力を気付かない人もいます。 わかる人にはわかるのです。 それでよいの です」 と仰いました。 抹茶というのはヘルシーであることが魅力ですが、 それだけでなくとても 文化的な飲み物であり、抹茶には多くの魅力的な側面がある。 世界にファ ンを作ることができる強力なコンテンツになりうる、 ということを実感した出 来事でした。

全く作法がわからないでいる私に、 忙しい中、 特別に 個人レッスンをつけてくださった先生もいました。 日本 文化 ・ 茶道文化の伝統を繋いでいくために、 いろん な方が精力的に活動されていおり、 良いものを残そう とする一人一人の努力が、 歴史や伝統を繋いでいる のだと改めて学んだのでした。