こんにちは!いつもd:matchaをご利用頂き、ありがとうございます。d:matchaニュースレターチームより畑や新開発の商品、スタッフの近況をご紹介していきます。どうぞ、ご愛読ください。

 

d:matchaの畑のこと (by Hiroki.A )

  最近、暖かくなって来たかと思うと、急に冷え込んだりを繰り返しています。先月、寒さと茶の品質に関して記述しましたが、寒ければ寒いほど良いとゆうわけではありません。

 茶の生育下限温度は約-5℃でそれを下回ると、生育障害が起きる可能があります。寒さにまつわる生育障害は、赤枯れ、青枯れ、の二つが特に有名です。赤枯れは葉が氷点下を下回る寒さに打たれ、凍結し、茶の組織が破壊される現象です。春の収穫期に新芽が霜に当たるのと同じ理屈ですが、厳しい寒さの中では比較的強度の高い成熟した葉でも時折見られます。青枯れは、雨が少なく土壌が乾燥している時に、葉での蒸散量に根の給水が追いつかなくなると発生します。土壌の水分が多い場合でも地温が3℃以下になり根の給水能力が低下すると発生する可能性があります。前者は凍えてしまって、後者は喉が乾いてしまうわけです。

 どちらも同じ低温状況下で見られる茶の生理障害ですが、その発生原理が異なっており、対策も異なります。我々が管理する茶園でも今年は青枯れが見られました。決して乾燥するような立地ではないため、地温低下に伴う給水能力の低下によるものと考えられます。付け加え、碾茶を作るために整えられ、葉層が充実した極葉重型の茶園であったので葉における蒸散量が大きくなってたことが仇となったと思われます。

 思うに農業とは、やはり自然とは異質なものです。本来茶は低木の陰性樹で薄暗い林の中でひっそり自生している植物です。そこでは、ほかの木に覆われているため乾燥や致命的な寒さに晒されることはないです。そんな植物を本来いるべきない場所で栽培するのだから、当然何かしらの害に見舞われます。しかし、自然界に存在する事象をしっかりと理解し、寄り添う形で共生していくことに農業の真の合理化があると思います。(写真は赤枯れの様子)


-クラウドファンディングプロジェクト始動(by Natsuki)

 

 

ご縁があり、京都・伏見の酒蔵招徳酒造さんとコラボ商品を企画することになりました。クラウドファンディング”makuake"で販売いたします。酒粕と抹茶を使用した「宇治抹茶酒粕チーズケーキ」口元にチーズケーキを近づけた瞬間からほわっとお酒の香りが漂う、ほろ酔いチーズケーキです。宇治抹茶と伏見の日本酒という、京都の伝統食をお届けできる至福のケーキとなりました^ ^

初めてのクラウドファンディングは、記事の作成から写真・動画の撮影、コラボさせて頂く酒造の取材などいつも以上に販売までの期間を要しました。それだけ熱く想いのこもった商品になっておりますので、ぜひ、makuakeの記事を読んで頂き究極の宇治抹茶酒粕チーズケーキをお試しください!makuake限定で招徳酒造さんの日本酒が付いたセットもありますよ。個人的にはチーズケーキと梅酒セットは相性抜群のマリアージュとなりました! 




- 持続可能な農業を目指して(by Chisei.T)

 温暖化の原因にもなっている年々増えるCO2の問題は近年の研究で物に固定させたり、地中貯留、海洋隔離にCO2固定技術による課題解決が模索され始めています。しかし私はそれに頼りきってそれがもし地震が起きて漏れ出す可能性など何か不覚な事象が起こるリスクが0なわけではなく、CO2自体の削減に尽力すること自体は意義のあることと考えています。エネルギー生産などが特に問題視されていますが、実は意外にもCO2総排出量の20%近くは畜産などを含む農林業が占めています。茶に関してはメタンを排出する畜産、水稲に比べると環境破壊に占める割合はそんなに多くないかもしれませんが、この20%という数字は我々農家として目を瞑りたくなる不都合な数字です。

また、植物を栽培するために使用する化成肥料、特に植物の必須三大栄養素のリン、カリにおいては鉱石を採掘しているため埋蔵量に限界があるという問題も抱えており、大気中に無限に存在する窒素は生産に限界量はないものの、肥料化する際にそれ自体の生産にエネルギーを必要とする水素を用いなくてはなりません。 また、過剰な施肥による肥料流亡は川やそれに繋がる海への汚染も懸念されます。化成肥料の開発のおかげで世界中の多くの命を飢餓から救うことができましたし、途上国や砂漠地などにおいては現在に至ってもそうです。またここぞというときに使用すると化成肥料はとても有効ですので『化成肥料=悪』と言う図式は作りたくないですが、飢餓の問題をクリアしている先進国の茶農家として持続可能な農業のモデルケースを作る責務がある考えています。D-matchaでは肥料においては魚粕や油粕などの有機肥料を主軸に栽培していますが、何かの副産物の有機肥料でさえもそれを海外のどこか遠くから運ぶのにも多くの二酸化炭素を排出していると考えるとBetterではありますがBestな選択肢ではないかと思います。

 そこで、今年から正面からその問題と向き合うべく、一部茶畑で『持続可能な茶園』作りの実験を行うことになりました。具体的には茶の副産物や近隣の何かの副産物はもちろん、緑肥を使用した肥料づくりを行います。いくつか色んな副産物を用い対照実験を行う予定ですが、緑肥を用いた茶栽培においては個人的に最も可能性を感じています。緑肥とは違う作物に対し肥料となる植物で、緑肥栽培とはその緑肥を肥料として何か違う作物を栽培する栽培方法です。具体的にはソルゴーなどのイネ科緑肥や土壌センチュウなどに効果があるマリーゴールド、水田の裏作などに用いるマメ科のレンゲなどその種類と効能は多岐にわたりますが、その中でもマメ科植物やマメ科緑肥は大気中の窒素を根や茎に特殊な微生物を住まわせ「窒素固定」ができる、つまり大気中の窒素を土壌やその植物自体に蓄えることができるというとても有能な特殊な能力を持ち合わせています。また、緑肥は輸送時には種の状態でとてもコンパクトで積載効率がよいため、輸送に対する二酸化炭素排出量は少ないと言えます。実は茶栽培において緑肥に可能性を感じていた三年前、ここ和束の地で緑肥栽培を個人的に試み失敗した苦い経験があります。一時は諦めたこともありましたが、何とか今年こそはこの失敗を経験としに成功に導きたいです。(写真はマメ科緑肥の写真)

☞次回予告「マメ科植物と根粒菌の関係と窒素固定のメカニズム」についてです。お楽しみに

- 72の季節(by Ryhan)

 

日本には、四季の中に二十四節気(にじゅうしせっき)七十二候(しちじゅうにこう)という季節があるということをご存知でしたか?旧暦とは、明治時代までに使われていた暦のことで、月の満ち欠けを基準にして決められています。しかし、月の動きを基準とすると季節とのズレが生じるため農業には何かと不便でした。そこで、季節の移り変わりをするための基準として考えられたのが二十四節気(にじゅうしせっき)です。これは1年を24等分し、太陽の動きを基準にしているので、農業においてとても便利でした。七十二候は二十四節気をさらに3つの四季に分け、1年を72等分したものです。古代中国から伝わった二十四節気はそのまま使われていますが、七十二候は、江戸時代に日本の気候風土が合うように天文学者渋川春海によって改訂されています。

七十二候の(3月1日-5日)にあたる四字熟語で「草木萌動」草木が萌(め)ばえ動く(いず)る-という言葉があります。これは、春の訪れを感じ、新しい生命が土の中や枝々からいっせいに芽生え始める時期を表します。

お茶農家の仕事でも、この時期から畑に目を向け、肥料まきや刈り込みなどをして3ヵ月後に出てくる新芽のための準備をし始めました!!新茶が待ち遠しくて仕方ありません!!今年の新茶が出来上がるのもとてもワクワクしています♫



- 農業と日本人の文化(by Misato.T)

 

 現在、和束町の若手農家のお茶を集めて販売するという新しいプロジェクトを行っています。各農家さんにインタビューを通じて、各自のこだわりやストーリーをヒアリングしています。

農家さんの中には、このままでは和束に茶農家の後継者がいなくなる、と真剣に危惧している方もいらっしゃいます。それほど茶農家を取り巻く環境は厳しいのです。

 

私はミカン農家の生まれであり、東京でのサラリーマン生活も経験しているので、農家の働く環境の特異さがよくわかります。お休みは雨の日だけ、決まった休みはありません。年によっては天候不順のせいで、期待する収量もしくは品質が得られないことも多くあります。

 

昔は農協に出荷していれば食べていけましたが、農産物の自由化や他の作物との競合が激しく価格下落圧力が大きい作物では、栽培だけでなく小売りまで行っていかなければなりません。農家は一企業と同じ、高度な経営スキルや感覚が求められます。このボラティリティの高さや収入の減少などが、農家の後継者が減少している大きな理由です。ただ、難しい状況ではあるものの、独自に工夫すれば生き残っていける面白さもあります。

 

農業は自然が相手の生業です。農家は天候が良好になるように神様に祈るしかありません。また、土地の恵みをその土地の神様に感謝し、農地を開墾した先祖を敬います。自然を恐れ敬う心、その土地と先祖を大切にする心、日本人の文化の根底にある意識は、日本人が農耕民族であることに由来するものです。 この農村の文化、つまりは日本人の文化が、何とか生きて未来に残ってほしいと願いながら、この若手農家の茶がもっと売れる方法がないかと模索する、今日この頃です。

(写真はインタビューの様子)



- d:matchaのこと(by Daiki.T)

 

 Wazuka Youg Farmers’ Projectについて. 

和束町の20代や30代の4茶農家(d:matchaをいれると5農家)に声をかけ、より多くの農家から直接消費者、お客様にお茶の価値をお届けする試みにチャレンジすることにしました。和束町は高齢化が進み、茶農家の平均年齢も65歳を超えており、そこにコロナ禍の影響で茶の値段はさがって、今の20代、30代の茶農家も自分達の次の世代まで続かないかもしれないという強い危機感があります。こんな環境の中、文句ばかりいってもつまらないので、何か面白いことをしよう、と有力な若手農家達とともに、究極のシングルオリジン煎茶、そして、お客様からのフィードバックで作る、農家別食べ比べプリンの企画を考えています。

究極のシングルオリジンは、「やぶきた」品種にそろえ、単一畑で農家別の味わいを飲み比べして頂く企画。プリンは、各農家が押したい碾茶をもちより、その抹茶の食べ比べのプリンを製造。抹茶に対するフィードバックをうけてさらに3種類のプリンを作る、という企画です。まだまだ検討段階ではありますが、必ずや面白い試みにしていきます! (写真は打ち合わせの様子)

 代表取締役 田中大貴