d:matcha通信(2020年10月号)⑥お茶と環境

田中美里

「dmatchaのティーバッグはソイロン製で土に還るので飲み終わったら庭先に捨てても大丈夫ですよ。」とお客さんに伝えたある日、ふとある疑問が自分の中で起こりました。

「このティーバッグ本当に土に還るのだろうか。またどのくらいの期間を経て分解されるのだろうか。」    

 我々dmatchaはできる目の前の小さなことからSDGsや環境問題に取り組んでいます。その1つがティーバッグの商品を全てナイロン製からソイロンというトウモロコシ由来のデンプンを使用した物にかえたことです。理論上、ソイロンは庭先に捨ててもデンプンなので微生物や酵素によって糖に分解され土に還ります。

しかしながら、自分の目で分解されていくソイロンを見たことがないのです。これではお客さんに胸を張って分解されますとは言えないなという思いが自分の中で沸々と強くなっていきました。そこでそのモヤモヤを確信に変えるため確証実験を始めました。

『実験方法』

4処理区×3サンプルずつ用意しました。対照区として市販の他社商品のティーバッグ(ナイロン製)、和束茶ブレンド区(ソイロン製)、和紅茶区(ソイロン製)、ジンジャーほうじ茶区(ソイロン製)の4処理区を設けました。地上から5センチほどにそれぞれ埋めて、毎朝水を与えることとしました。

毎朝、何を育てているわけではないのにティーバッグを埋めた鉢に水をあげることに虚しさを感じることはありますが、きっとこういう1つ1つ疑問に思ったことを確証に変えていくことが自信を持って商品を販売することに繋がると信じ、変化が見えない鉢に水を与え続けています。

1ヶ月後に一度掘り起こして様子を見てみるつもりです。

さらに読む

d:matcha通信(2020年10月号)⑦新しい挑戦

田中美里

9/22、d:matchaとしてまた新しいことへのチャレンジを行いました。d:matchaのお茶を提供し、カルフォルニアにあるミシュラン3つ星のレストラン「singlethread azurmendi」のシェフAlexとコラボをしてd;matchaのお茶をたくさん購入頂いているお客様を招待したweb cooking classを行いました。

たくさんでてきたレシピ候補のなかで、家庭でも応用し易く、誰もが大好きな唐揚げを選ばせて頂きました。料理の手順と詳細、オンラインでの質問会など場所に制約をうけることなく、オンラインだからこそできるサービスもまだまだ発展の余地がたくさんあると認識させられた経験です。特に、海外を始め、日本でも遠方のお客様は和束まで何度も足を運んで頂くのが難しい場合があります。そういったお客様とも継続的な関係性を構築していくうえで、今後もオンラインを活用したイベントなどを定期的に開催して行く予定です。 

 このようなアイデアも、本年で4年目になるStanford MBAのGMIX programでの生徒からの発案とセッティングで実現しました。いつもは、1月間和束町に来てもらってプロジェクトをしていましたが、今年は全オンラインで行いました。結果、プロジェクトのscopeやscheduleをより明確にすることでオンラインでも十分成果があがることがわかりました。

 私だけではなく、色んな方が感じておられると思いますが、コロナ禍という制約をうけることで新しい可能性も気づかされることも多く、そうした点は今後も積極的に推進したいと考えています。 

さらに読む

d:matcha通信(2020年10月号)⑤サイトリニューアル

田中美里

 現在、オンラインショップの載せ替え作業をしています。今まで日本のサービスを使って、オンラインショップを運営していましたが、ホームページの更新作業にはコーディングの専門知識が必要だったり、オペレーションが非常に複雑で、ここもあそこも情報を更新したいのにどう直すかわからない・・、直すのに時間がかかる、といった問題がありました。

そこで、今回はグローバルサービスを使用することに。アメリカのシリコンバレーでは、技術の革新が著しくサービスが日進月歩で良くなっています。なんと、グローバルサービスを利用すると、コーディング無しでショップの運営ができるようになるのです!

ただ、載せ替え作業はとても大変です。基本は英語での作業解説を読まなければならなかったり、日本独自の細かい配送設定(日時指定やクール便指定)を実現できるようにしなければなりません。作業量は非常に多いのですが、これからはホームページの更新が楽になるはずですので、畑の情報や活動内容をより素早く発信していきたいと思っています。どうぞお楽しみに!

さらに読む

d:matcha通信(2020年10月号)③お茶のこと

田中美里

蔵出し茶の季節到来っ!


 ワインやウイスキーを熟成させると美味しくなるのはみなさんご存知だとは思いますが、4〜5月に収穫した新茶も熟成させると味が変わり新茶とはまた違った美味しさがうまれます!!

江戸時代、お茶通だった徳川家康は標高の高い山奥にお茶蔵をつくり5月に収穫したお茶を茶壺に密閉しお茶蔵に保存していたと言われています。当時は冷蔵庫もなく窒素を充填させたり、脱酸素剤をいれて劣化を防ぐことは不可能だったので、標高の高い山奥に置いておくことで夏の暑さをしのげるので最適だったそうです。そして秋の御彼岸頃に口切りされたお茶壺のお茶を好んで飲んでいたと言われています。

 このお茶を「蔵出し茶」と言い重宝されていたそうです。新茶は力強い味と香りがありますが蔵出し茶はまろやかなコクと旨みがあります。
最近気温も下がって季節もすっかり夏から秋に変わってきました。肌寒い日が出てくると少し温度の高いお煎茶が飲みたくなります。
私は先日お家でお茶菓子と一緒にお煎茶を飲みました。今年の春にとれた新茶を淹れましたが、旨みが強くなっていてほっこりお茶タイムが出来ました。1日の中でゆっくりお茶を飲む時間があると、余裕をもって1日過ごせる気がします。

さらに読む

d:matcha通信(2020年10月号)④海外のこと

田中美里

最近、climate tracker が主催する環境ジャーナリズムのプログラムの一員として選ばれ農業の記事を書いています。記事の内容としては、東アジアの代表として、気候変動における影響と有機農業の重要性について焦点を当てて書いています。今広がっている問題点をあえて言えば、この地域の農家さんの平均年齢が高いということが、これから食料の需要と供給のバランスが徐々に難しくなっていくということです。 

 このプログラムに参加することは、有機栽培とその持続性を広めるとても良い機会だと思っていますし、特に私がd:matchaで得たことがとても活かされています。そして、このことが、茶だけではなくて、他の東アジアやアジアの他の製品についても農家が直面している課題への意識を高めていけたらいいと思っています。


出来上がった記事を楽しみにしていてくださいね!

さらに読む

d:matcha通信(2020年10月号)②茶道のこと

田中美里

硝子の茶室

ある休みの日、京都市岡崎にある京都市京セラ美術館に足を運びました。

3年間の改装工事後の記念展示会ということで、現代美術家、杉本博司さんの作品展が開催されていました。硝子の茶室も作品の一つとして庭園に展示されており、以前はベネチアやフランスのベルサイユ宮殿で展示されたこともあるそうで、日本では初公開。四方天井がガラスで覆われた2畳の茶室。実際に茶室披きも行われ、硝子の空間の中で鳥の囀りや水の音、美しい庭園の景色の中でお茶がもてなされたことを想像すると美しい空間だったろうなと感じられずにはいられませんでした。

日本の伝統芸術が現代美術によって新しい形で表現されていることに感動し、何より、コロナ禍で行動が制限されていた分、美しいものを観ることがとても貴重な時間となりました。この秋は時間があれば美しいものや本物に触れる機会を増やし、空間づくりの糧にしていけれたらいいなと思います。

 

さらに読む

d:matcha通信(2020年10月号)①農業部門

田中美里

夏場の新梢抑制剪定!

 自社の茶園の管理において、普段とは異なるタイミングで剪定を行うことがあります。それは中刈りや深刈りなどの強剪定を行った茶園の夏場に行う新梢抑制剪定です。

 夏から秋にかけて、強剪定を行った茶園は通常の管理のそれに比べより長く伸長し、より太い茎を作ります。その理由は、深く刈り落された枝は幾つもの分枝点をさかのぼるため、芽の基盤となる枝が太く、その数が少ないため、水分や養分がより集約的に供給され、樹勢が強い芽が成長するためです。

 しかし、その再分化した芽の根本付近を見てみると、勢いよく成長する上位の芽と、その脇から伸長する弱々しい複数の下位の芽があることがあります。これらの下位の芽は受光体勢が低く、2~3葉程の葉つけてそれ以上伸びることはありません。

 下位の芽は秋の剪定の際、十分に伸長しないため剪定されずに、茶園の表層に埋もれます。そして翌年の春。これらの埋もれた芽は一番茶の収穫物に寄与することは稀です。私は、これらの飾り物の枝を非有効芽数と表現することがあります。有効芽数を増やし、一つ一つの枝を充実させることは、収量の増加だけではなく品質向上においても非常に重要な要因となります。

 新梢抑制剪定とはこれらの問題を回避するために行います。夏、勢いよく伸びた上位の芽はすぐに6葉程の葉を付け30㎝以上にも伸長します。このタイミングで頂点を含む1~2葉を剪定により除去すると、これ以上の伸長を止めることができます。伸長が止まった上位の芽に使われるはずの栄養源は必然的に下位の芽に供給されます。この頂芽優勢の解除と供給先の変化は、下位の芽に成長の機会を与えることになります。これにより、均一に充実した有効芽数を増やすことが出来るのです。ただ、夏場35℃付近までになる炎天下の中、この作業を行うのはとても大変です。

上)抑制剪定を行い、有効芽数が増え、均一に枝が充実した様子 下)抑制剪定を行わず、上位の芽が優先的に伸長し不均一な様子

 

さらに読む